- #1
- #2
欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クレイジーなパスだった」久保建英が完璧なスペイン語で表現!「彼はセスクを連想させる選手」《バスク在住英国人のクボ評》
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/09/02 17:02
ソシエダのファンとともに写真を撮る久保建英。新天地で本来の輝きを取り戻せるか
地元ファンからのチャント「タケ、ありったけの力を…」
最近、久保には新たな追い風も吹き始めた。日本で報道されているかどうかはわからないが、ソシエダは8月23日から、久保の弟である瑛史をフベニール・ナシオナル(ユースチームで構成されるリーグ)の練習に参加させることを決定した。FIFAの規定により試合には出場できないにしても、久保の弟は日々の練習を通して確実にスケールアップしていくはずだ。また弟もやってきたとなれば必然的に地域との絆も深まる。ソシエダやサン・セバスチャンの街は、久保一家とより深く付き合っていく運命にあるようだ。
兄の建英も、着実にファンを増やし続けている。バスクの人々は、「Jotake, irabazi arte」(勝利を手にするまで、ありったけの力を出し切れ)というフレーズを好んで用いる。近頃ソシエダのファンは、「Jotake」という単語と建英(Takefusa)という名前をかけて、「Jo-Take!」(タケ、ありったけの力を出し切れ!)」というチャントを合唱し始めるようになった。
ここまでの流れはきわめて順調だ。私の目から見れば、久保はまさに然るべき場所(クラブ)に、然るべきタイミングでやってきた印象を受ける。今の状態を維持していけば、物事はさらに良い方向に流れていくだろう。サッカー選手としての能力、基本的な姿勢、そしてさらなる高みを目指そうとする熱意。久保とソシエダには、いくつもの共通点があるからだ。
たしかに長く厳しいシーズンが待っているが、久保は前向きで物怖じしない性格の持ち主だ。これもまた貴重な資質であり、バスクで生きていく上ではアドバンテージになる。現に彼はプレーだけでなく人柄も通して、地元の人々の心をしっかり掴み始めている。
かくいう私も久保に魅了された一人だ。今シーズンは日本からやってきた稀代のアタッカーを見守りながら、こう応援を送り続けたいと思う。
Jo-Take!(タケ、ありったけの力を出し切れ!)
<前編から読む>