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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英は何のためにソシエダへ? 移籍発表時にはファンが疑念の声も…バスク在住英国人がクボに惹かれる“これだけの理由”
posted2022/09/02 17:01
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph by
Getty Images
このクラブ独特の文化と、久保が活躍するための展望を前後編2回にわたって斬る!(前後編の「前編」/「後編」を読む) <翻訳・構成:田邊雅之>
8月21日、日曜日、夜10時。スペイン北東部の美しいリゾート地、サン・セバスチャンにあるレアル・アリーナ・スタジアムには3万6201人もの観客が詰めかけていた。お目当ては「ラ・レアル」ことレアル・ソシエダの第2節、シーズン初のホームゲームとなる、強豪バルセロナとの一戦だった。
そもそもこの時期はバケーションシーズンにあたるため、かくも多くのファンが試合会場に集まることはほとんどない。スタジアムの収容人数が3万8000人であることを考えても、いかにこの試合が注目されていたかがわかる。むろん観客の中には、ロベルト・レバンドフスキを新たに獲得したバルサが、いかなるプレーを披露するのかという興味を抱いていた者もいたと思う。だがこの試合には、もっと大きな意味が込められていた。日本人選手として初めてソシエダの青と白のシャツに袖を通し、前節のカディス戦でいきなり勝利の立役者となった久保建英が、ホームに初お目見えするからだ。
残念ながら試合は1-4で敗れたが、内容的には十分称賛に値するものだった。開始直後にレバンドフスキに先制ゴールを奪われたものの、ソシエダは5分後にアレクサンダー・イサクの得点で同点に追いつき、後半途中まで互角に渡り合ってみせている。それ以上に重要なのは、久保が前節の開幕戦に続いてチーム内で最高のパフォーマンスを披露し、地元ファンの期待に見事に応えてみせたことだった。
久保は何のためにソシエダに移籍したのか
とはいえ日本のサッカーファンは、こんな疑問を抱いているかもしれない。そもそも久保は何のためにソシエダに移籍し、何を掴もうとしているのかと。
久保はラ・リーガでプレーする13人目の日本人選手だ。そのパイオニアは、2000年にバジャドリードに移籍した城彰二である。さらに遡れば、1997年から98年にかけては、安永聡太郎が当時2部リーグに所属していたリェイダでプレーしている。
久保にとっては、ソシエダはマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェに次ぐ4つめの所属先となる。結果、今回の移籍も、従来と同様の流れだろうと捉えられがちになってしまうが、それは正確さを欠く。2027年までの5年契約は、久保にとってもソシエダにとっても大きな意味を持っている。
ならばソシエダとはいかなるクラブなのか?