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「小学5年生が大学生との試合に出場」「17歳でプロで通用する選手に」風間八宏の“セレッソ育成改革”が今回もトガっている
posted2022/09/01 17:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Satoko Moritsugu
やはりこの男、タダモノではない。
8月3日、セレッソ大阪U-18は日本クラブユースサッカー選手権(U-18)決勝で横浜F・マリノスユースを延長戦の末に3-1で破り、13年ぶりの優勝を果たした。
8月8日にはセレッソ大阪堺ガールズが日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)で初優勝。
そして8月24日、今度はセレッソ大阪U-15が日本クラブユースサッカー選手権(U-15)決勝で横浜FCジュニアユースに3-1で勝利し、同大会の初優勝を決めた。
風間八宏がセレッソ大阪アカデミーの技術委員長に就任したのは2021年1月のことである。わずか1年半で、3つのタイトルをもたらしたのだ。
個人の成長を優先させながら大会を制した
風間らしいのは、目先の結果にとらわれていないことだ。
高3の北野颯太と高2の石渡ネルソンをトップに帯同させて大会に登録しておらず、さらに日本クラブユースサッカー選手権の途中、高3の木下慎之輔がブラガンチーノの練習に参加するためにブラジルへ旅立った。
結果だけを考えたら3人を起用すべきだったが、セレッソは個人の成長を優先したのである。にもかかわらず大会を制したのだからあっぱれだ。
普段から“武者修行”を重んじており、セレッソU-18の島岡健太監督のアイデアで、高校生を女子チームに1人で練習参加させるといったこともしている。
また、指導者の育成も同時に行っている。
セレッソではアカデミーとスクールのスタッフを対象に、風間による指導者講習会を定期的に開催しており、アカデミーダイレクターの丸山良明、U-18の島岡監督はもちろん、アカデミーとスクールの指導者全員が参加している。
風間の“門下生”を増やし、より多くの指導者、選手たちに試合で大切な武器を伝えようという壮大な計画だ。
年齢の壁を取り払った「スぺトレ」をセレッソでも
また、風間は年齢の壁も取っ払っている。
ブラジルのストリートサッカーでは、子供から大人まで異なる年齢の選手が一緒に興じ、それによって型にはまらない技術や発想が育まれている。風間は過去に出身地・清水で小学生から高校生が一緒に練習する「スペトレ」を開催していた。
セレッソでも小4から高3が参加する「スペトレ」を開催し、今季からアカデミー技術委員に就任した大久保嘉人が子供たちと共にボールを蹴っている。選手にとってはたまらない“生きた教材”だろう。