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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英は何のためにソシエダへ? 移籍発表時にはファンが疑念の声も…バスク在住英国人がクボに惹かれる“これだけの理由”
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph byGetty Images
posted2022/09/02 17:01
新天地ソシエダで開幕から3戦連続スタメン出場している久保建英
ところが久保はプレッシャーをものともせずに、ソシエダの一員として躍動。カディス戦では勝利の原動力となり、かつて慣れ親しんだバルセロナとの対戦でも、自身の成長を存分にアピールして、チームの鍵を握る選手に成り果せた。
ソシエダが久保に5年契約を提示した理由
これはクラブ側にとっても理想的な展開だった。そもそもソシエダの首脳陣は、久保の能力を高く評価。自分たちが展開するスタイル、すなわちボールポゼッションを高めながらゲームのイニシアチブを握っていく、攻撃的なサッカーをスケールアップさせられる逸材だと見ていた。だからこそ彼らはいきなり5年の契約を提示したのである。
久保もまた、ソシエダならば自分の力を発揮できるという思いを強くしたのではないか。ビジャレアルはさておいても、ヘタフェやマジョルカは降格を避けるのが重要課題になっているようなクラブであり、カウンターをベースにした、守備的なアプローチがもっぱらになってしまう。たしかに久保は懸命にチームに貢献していたが、やはり窮屈なプレーを余儀なくされていた。
しかし、ソシエダの状況は異なる。久保にとっては、これまで所属したいかなるクラブよりも、攻撃の才を発揮できる環境が整っているのは明らかだ。飛躍の扉は、ついに開かれたのである。
今シーズン、我々は本物の久保建英――攻撃的な選手としてついに覚醒した姿を目撃できる可能性が高い。それはソシエダ自体が、大きく飛躍することも意味する。
ヨーロッパでも夏が終わり、急速に秋の気配が濃くなってきた。だが私が住むサン・セバスチャン、そしてバスク地方は、心浮き立つ春のような予感に満ちている。
<後編に続く>