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「お手紙がないと成り立たないので…」羽生結弦と町田樹を愛する“異色のアナウンサー”が語る「ラジオでフィギュアを届ける意味」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTomosuke Imai

posted2022/08/31 11:02

「お手紙がないと成り立たないので…」羽生結弦と町田樹を愛する“異色のアナウンサー”が語る「ラジオでフィギュアを届ける意味」<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

『こだわりセットリスト・特別編~羽生結弦選手特集』を手掛け注目を集めたラジオNIKKEIアナウンサーの藤原菜々花さん

「誠実さ、やさしさが素敵だなと思って」

 町田とのエピソードも忘れられない。

「『プリンスアイスワールド』というアイスショーがあります。ショーが終わると、スケーターの皆さんがリンクを回って、ファンがリンクサイドに立ってプレゼントを渡せたりお話しできたり、触れ合える時間があるんです。町田選手にお手紙を用意していたので、渡したいと思って『まっちー』と声をかけました。すでにいっぱいプレゼントを抱えていたのですが、呼んだら私の方を見て、ちょっと待って、というポーズをしました。

 でもどこかに行ってしまって、『あ、行っちゃった』と落ち込んでいたら、持っていたプレゼントを全部空にして、こちらに戻ってきてくださったんです。そうしてお手紙を受け取っていただいたということがありました。誠実さ、やさしさが素敵だなと思って、心に残っています」

藤原アナが思う「フィギュアの魅力」

 インタビューには、私物のパンフレットやグッズもたくさん持参してくれた。母の影響を受けつつ、魅力を自ら見出し、フィギュアスケートを見てきたことがうかがえる。

「フィギュアスケートは『強くて美しい』というのが最大の好きなポイントかな、と。美しいだけじゃなくてスポーツとしての強さもあります。ショートプログラムが2分40秒、フリーは(現在は)4分、ほんとうに短い時間です。選手の人生が詰め込まれたこれまでの練習を、そこに懸ける緊張感が魅力なんじゃないかなと思っています」

 フィギュアスケートの魅力に惹かれて見続け、その中で応援するスケーターに出会った。羽生の姿は「人生のバイブル」と語るほど手本にしつつ、今日までたどり着いた。

現在は“競馬中継”に奮闘中

 念願のアナウンサーとしての生活について尋ねると、ひとこと、こう答えた。

「壁だらけというか」

 そして言葉を続ける。

「ゆくゆくは競馬実況をするということで採用していただいたんですけど、競馬をまったく知らない状態で入社したので競馬用語が全然分からないし、先輩たちが何を話しているのか分からない状態からのスタートでした。いざ先輩の近くで実況している姿を目の当たりにしたとき、ほんとうに難しいんだなと感じました。

 多くて1レース18頭、馬があまりにも速いので、あの馬の名前なんだっけと思っている間にゴールしていたり、とんでもないことに挑戦しようとしているんだなということを痛感しています。競馬実況デビューというのが越えなければいけない壁だなと思っています」

【次ページ】 「プロという新しい道に行く羽生選手に向けて」

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