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「お手紙がないと成り立たないので…」羽生結弦と町田樹を愛する“異色のアナウンサー”が語る「ラジオでフィギュアを届ける意味」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTomosuke Imai

posted2022/08/31 11:02

「お手紙がないと成り立たないので…」羽生結弦と町田樹を愛する“異色のアナウンサー”が語る「ラジオでフィギュアを届ける意味」<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

『こだわりセットリスト・特別編~羽生結弦選手特集』を手掛け注目を集めたラジオNIKKEIアナウンサーの藤原菜々花さん

 競馬実況は、女性の例がこれまでにないとは言わないが、男性が占めていると言っておかしくはない状況にある。過去には「女性にはハードルが高い」等の言葉を聞いたこともある。いちから学ぶ中での挑戦は、会社としても1つの決断であろうし、容易に越えがたい「壁」と感じるのも無理はない。

 ただし、不安に駆られているばかりでないのは次の言葉からうかがえた。

「羽生選手が4回転アクセルに挑戦している姿を励みに、私も挑戦していきます」

プログラムの「音楽」から想像を広げて

 アナウンサーとして大切にしているのは、「前向きでいること。“前向き”を放送で流すこと」。

「(担当する)『ななかもしか発見伝!』は1人でも元気になってくれたらうれしいな、1人でも明るい気持ちになっていただけたらうれしいなと思いながらやっています。自分がこうやってパフォーマンスしたい、ではなく、どうすればリスナーはうれしいかな、有益な情報になるかな、とリスナーが求めることを常に意識してできたらと思っています」

 ラジオだから映像はない。「音」で勝負する世界だ。そこに強みがあると信じている。

「具体的に『こだわりセットリスト』に関して言えば、ラジオじゃないとできない企画だと思っています。というのも映像ありで流すとすると、たぶん羽生選手の動きに注目すると思うんですね。でも音と声だけで届けていると、想像力の幅がすごい広がると思うんです。

 例えば『パリの散歩道』というプログラムを音楽で流したとしたら、脳内で羽生選手の演技を再生する方もいらっしゃると思いますし、『その時期、このことで悩んでいて羽生選手に救われたな』と想像する方もいらっしゃるかもしれません。試合に行った方なら、『会場でこうだったな』と思いを馳せるかもしれない。1つの音楽からいろいろなことを想像できると思うんですよね。

 お便りをいただいて紹介するという、リスナーとの距離がテレビより近いこともあります。『こだわりセットリスト』はリスナーのお手紙がないと成り立たない番組なので、一緒に番組を作れる、聴いている方に一体感を楽しんでいただけるという点が強みかなと個人的には思っています」

「プロという新しい道に行く羽生選手に向けて」

 9月23日には、「こだわりセットリスト・特別編~羽生結弦選手特集」の第2弾を放送することが決定したという。第1弾と同じく75分で放送することが決まっている。

「プロに転向することを表明した記者会見の前の段階で企画は決まっていました。プロという新しい道に行く羽生選手に向けたセットリストを作れたら。最後は未来に向けた曲にできたら。これから羽ばたいていく羽生選手を表す構成にしていけたらと考えています」

 フィギュアスケートについて、羽生結弦について、自身について――さまざまなテーマについて語る言葉は明確さと、そして伝えること、伝えたいことが確固としてあるからこその強さを帯びていた。それが聞き手に伝える力ともなる。

 今、競馬実況デビューとともに、描いている目標がある。

「今後、フィギュアスケートの番組を増やしていくこともキャリアの目標です。いつか、『フィギュアといえばラジオNIKKEI』と言っていただけるように一歩ずつ頑張りたいです」

(撮影=今井知佑)

#1から読む「500通の感想メールが…」ラジオで“異例の羽生結弦特集”を実現させたアナウンサーが感じた“ファンとの絆”「あたたかさに感動しました」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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