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「500通の感想メールが…」ラジオで“異例の羽生結弦特集”を実現させたアナウンサーが感じた“ファンとの絆”「あたたかさに感動しました」
posted2022/08/31 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
L)Tomosuke Imai、R)JMPA
番組を自ら企画し出演したアナウンサーの藤原菜々花に、制作の経緯や困難、フィギュアスケートへの思いなどを聞いた。<全3回の1回目/#2、#3につづく>
ラジオNIKKEIのアナウンサー、藤原菜々花は2020年の春に入社し、3年目を迎える。
幼少期からフィギュアスケートのファンだった藤原は、入社してからフィギュアスケートの番組を作りたい一心で、企画を何度も立ち上げてきたが実現には至らなかった。
ようやく形となったのが『こだわりセットリスト・特別編』としての羽生結弦の特集であった。
『こだわりセットリスト』は、あるアーティストやジャンルに強い社員が少しマニアックな切り口でセットリストを作成し、トークなしのノンストップ形式で送るという内容の番組。現在は週1回(火曜19:00~19:30)に「特別編」として放送されている。今回の企画はそれを75分に拡大したものだった。
「今年の1月、同期で入社した清水遥夏ディレクターとお蕎麦屋さんで食事しているときにフィギュアスケートの番組を何かやりたいんだけど、と話している中で『こだわりセットリスト』がいいんじゃない? 羽生選手の歴代プログラムをノンストップでやろうよ』みたいな話をしたところから始まりました」
“ファンのお便り”が生んだセットリスト
編成部に持ちかけたところ、「いいよ」と承諾を得た。
「ラジオNIKKEIは、不定期ではあるけれど社員全員に企画募集のメールがまわってきて、私も入社3カ月で企画を出してプレゼンしたことがあったり、それこそ『こだわりセットリスト』のような相談もでき、すごく提案しやすい会社なんです」
正式にスタートを切り、番組制作に着手する。歴代プログラムを流すというテーマのもと、どう選曲し、構成を考えていったのか。
「選曲は、基本的には事前に募集していたファンのお便りが中心です。どのプログラムも人気ですけど、中でも『これが聴きたい』という声が集まった曲を中心にセットリストを作りました。そこに、自分の中で絶対に流したいという曲も合わせています」
入れたかった曲は――。
「『天と地と』です。どのプログラムもそのときの羽生選手の人生が詰まっている感じがするんですけど、特にここまでやってきた羽生選手の生きざまが全部詰まったプログラムだと個人的に感じていたので、羽生選手のスケート人生で欠かせない一曲として流したいな、と。あとは『SEIMEI』も流したいと思っていました」