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「絶望しか残っていませんでした」涙を流す木原龍一を三浦璃来はいかに支えた? りくりゅうの“約束”「どんなことがあってもリフトで落とさない」
posted2026/03/03 07:00
フリーでの圧巻の演技を終え、氷上で感極まる木原と三浦
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Kaoru Watanabe / JMPA
発売中のSports Graphic Number 週刊文春3/12臨時増刊号に掲載の[栄光へのリフト]三浦璃来&木原龍一「黄金の絆で結ばれて」より内容を一部抜粋してお届けします。
真実の絆を試された2人の物語
「今日は、『ショートのことはすべて忘れて、イチからスタートしよう』と話し合いました。本当に強い思いでした。この7年間、たくさんのことを経験し、成長してきたからこそ、今日の演技に繋がったと思います」(三浦璃来)
ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート・ペア。三浦と木原龍一の2人は、ショート5位からの劇的な逆転で、日本の同種目史上初となる金メダルを獲得した。
普段は9歳上の木原が“お兄さん”として三浦を支え、2人で突き進んでいく関係性。しかしショートのミスを引きずった木原は、フリーの演技直前まで「もう僕のオリンピックは終わってしまった」と諦めていた。なぜこの窮地で、三浦は気を強く持ち続け、木原も強い自分に戻ることができたのか。これは、真実の絆を試され、最後までその手を離さなかった2人の物語だ。
2度目の五輪で胸に抱いた「2つの約束」
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ペア結成から7年かけて辿り着いた、2度目の五輪。2人の胸には「2つの約束」があった。1つは、坂本花織、鍵山優真らと誓った団体戦のメダルである。
「北京五輪でメダルを取ることができて、花織ちゃん、優真くんたちと、4年後また戻ってこよう、それぞれがレベルアップを頑張ろうと話してきました」(木原)
もう1つは個人戦でのメダルだ。北京五輪では、ショートのミスのあと落ち込んでいた三浦を木原が励まし、フリーで気持ちを切り替えて、7位と健闘した。
「一度コンディションが落ちたとしても、積み重ねてきた練習を信じれば、本番で力を発揮できるんだということを学びました。その時に『4年後はオリンピックメダリストとして会見に出よう』と約束したんです」(三浦)
昨年の全日本選手権で五輪代表に選ばれると、計画を立てた。木原は言う。
「この4年間に経験してきたことをすべて生かします。北京では団体戦のあと何をやってもタイミングが合わず、今までで一番辛い状態になりました。今回は、団体戦から個人戦までの期間をポジティブに過ごせたらなと思います」
具体的な計画を聞くと、即答する。
「やっぱり私たちの気分転換はゲーム。きちんと持っていこうね」(三浦)
「僕が負けてあげる感じです」(木原)
「勝敗がつきすぎたら嫌だからね。僅差で勝ち負けがあるように調整してるんだよね」(三浦)
迎えた五輪の団体戦では、ショート、フリーともに自己ベストを大幅に上回る得点で首位。手応えをつかんだ。
そこから6日間の過ごし方は完璧だった。一度体を休め、追い込んだ後、強度を下げて身体的ピークを持ってくる。空き時間は『桃太郎電鉄』に興じ、三浦が勝利して気持ちを高めた。


