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「羽生選手が心のよりどころでした」好きすぎて“羽生結弦特集”の番組を企画したアナウンサーが学んだ“諦めない姿”「人生のバイブルです」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byL)JMPA、R)Tomosuke Imai
posted2022/08/31 11:01
高校生の頃から羽生選手の応援を続け、アナウンサーとして“羽生特集”を実現させた藤原アナに、羽生への思いを聞いた
羽生の姿が、就活中の心のよりどころだった
その後、羽生はアクシデントとも闘い続けた。
「(2014年中国杯の)衝突事故のときは今でも鮮明に覚えています。そのあと血が垂れていても包帯でぐるぐる巻きの状態で滑る羽生選手に、どうか無事でいてほしいというのもありながら、この方はなんて人なんだ、何があってもあきらめない人なんだと思いました。
平昌オリンピックも怪我から復帰しての金メダル。中国杯も、平昌オリンピックも、羽生選手のあきらめない強さというか、目標に向かって突き進むぶれなさ、あきらめないすごさを感じました。自分自身、苦難があってもあきらめないで来られたのは羽生選手のあきらめない姿を見ていたのが大きい部分もありました」
苦難とは――。
「例えば、就職活動ですね。中学生の頃からアナウンサーになりたいなと思っていたので、アナウンサー職しか受けませんでした。北海道から沖縄までアナウンサー職だけ出願しましたが、ほんとうにどこからも内定がもらえなくて、40社くらいは落ちました。それだけ落ちると悲しいというか、アナウンサーになれなかったらどうしようと先が見えない不安でいっぱいになりました。
それでも、羽生選手の平昌や、衝突事故のあとに滑ったフリーに比べたら、自分なんてぜんぜん大変じゃないかも、羽生選手が乗り越えたから自分も頑張ろうと、特に就職活動のときは心のよりどころとしていました」
「羽生選手は“信じる強さ”を持っている」
もう1つ力となったのは、「信は力なり」を地で行く羽生の姿だった。
「羽生選手の強さって自分を信じるところにあるのかなと思っていて。『平昌で金を獲ります』と言うことはできても、その夢を本気で信じることってめちゃめちゃ難しいことだと思うんですよ。心のどこかではかなわないんじゃないかと思ってしまう部分があるのかなと思うんですけど、羽生選手は本気で自分の夢はかなうんだと信じる強さを持っている気がして。
私もアナウンサー受験をしているとき、不思議だったんですけど、何社落ちても自分は絶対になれるとどこかで思っていました。本気で信じる大切さを羽生選手に教えていただいて、信じ抜いたからこそあきらめないでいられたのかなと思います」