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「諦める必要はない」ジェイソン・ブラウンが現役続行を決意した“両親からの涙の電話”「来季もショーと競技を続けていく」《独占インタビュー》
posted2023/05/16 11:02
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Akiko Tamura
ニューヨークを拠点に活動している氷上のパフォーマンス団体「アイスシアターオブニューヨーク」。ここでは毎年春に行われるガラ公演で、これまでフィギュアスケートに貢献してきた人物を表彰してきたが、今年はジェイソン・ブラウンが選ばれた。また長年彼の振付を担当し、昨シーズンは坂本花織のSPも手掛けたロヒーン・ワードが振付師賞を受賞した。ガラと授賞式のためにマンハッタンを訪れたジェイソンが、筆者の単独インタビューに応じた。
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過去にはディック・バットンやコーチのフランク・キャロルなど、長年フィギュアスケートに貢献してきた人物が選ばれてきたこの賞で、現役の選手が選ばれたのは異例だった。この受賞を本人は、どのように受け止めたのだろうか。
「昨年、トービル&ディーン(1984年五輪金メダリスト)が表彰されたと聞いて、僕も20、30年くらい後にもらえたら嬉しいな……と思っていたんです。それが今年と聞いて、『えええ! 本当に?』って(笑)。本当に光栄なことだと思っています」とジェイソンは、いつものはじけるような笑顔で語り始めた。
「ユヅはやっぱりユヅだった」
この1年間、ジェイソンは多忙をきわめた。北京オリンピックで6位になった後、アイスショーの出演で世界中を飛び回ってきたが、2023年1月に全米選手権で競技に復帰し2位になり、3月には世界選手権に出場して堂々5位だった。
「3月の初めに日本に来てユヅのショーに出ていたので、世界選手権に出る頃にはもうすっかり日本に馴染んで、まるで自国のような気分で滑ることができたんです」
そうジェイソンが言うように、彼は羽生結弦さんがプロデュースした3月11日の東日本大震災の追悼イベント「ノッテ・ステラータ」に出場。招かれた唯一の海外男子選手だった。
「特別な意味を持った特別なショーで、出演できて光栄でした。少人数で良い雰囲気のショーで、全てのスケーターがユヅのためにベストな演技をしたと思います。でもユヅはやはり別格でした。このスポーツを次のレベルへと引き上げてきた彼ですが、彼の演技を見て改めて『ユヅはやっぱりユヅだーっ!(笑)』と思いました」