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「カミングアウトをして、多くのサポートをもらって…」米国スケーター、アンバー・グレン“GP初優勝”の舞台裏…25歳できめたトリプルアクセル
posted2024/11/08 17:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
ベテラン女子の活躍が続いている今季GPシリーズ。11月1日からアンジェで開催された第3戦目フランス大会では、アメリカの25歳、アンバー・グレンが優勝を決めた。9月にチャレンジャーシリーズのロンバルディア杯で優勝し、好調なシーズンスタートをきっていたグレンだが、GPタイトルを手にしたのは今回が初めてだ。
「すごくクレイジー! でも嬉しいです」
「まだ信じられません。すごくクレイジー! でも嬉しいです」と喜びを言葉にしたグレン。SPではトリプルアクセルをきれいに着氷し、今季の女子のSP最高点78.14を得てトップに立った。
フリーでもトリプルアクセルに挑戦したが着氷でステップアウト。他にもいくつかミスが出て3位だったが、総合210.44でトップを保った。
「SP1位という立場で挑むというのは初めての体験だったので、頭の中にはいろんなことが回っていました。自分の滑走までに疲れてしまって、アドレナリンがあまり出なかった。(フリーでは)小さなミスがいくつか重なって、フリップで転倒してしまったのは体の疲れと、自分を疑ってしまった両方の理由からでした」
シニアに上がって11シーズン目、GP大会11試合目の挑戦で、表彰台のトップに到達した。
20歳で挑戦をはじめたトリプルアクセル
彼女が初めて試合でトリプルアクセルをクリーンに成功させたのは昨シーズン、2023年スケートアメリカのフリーだった。試合で承認されたのは世界では17人目、アメリカの女子としては6人目となる記録だ。
だがこれまで3アクセルを成功させた女子選手と違うのは、グレンは身長167センチと女子シングルとしては長身で、がっしりした筋肉質であること。しかも3アクセルの練習を始めたのは、すでに20歳になってからという。何がきっかけだったのだろう。