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長谷部誠18歳が膝を抱えて泣いた日 “荒川行き”を命じたオフトの狙い、浦和レッズ同期・坪井慶介の記憶「つまり僕は長谷部の能力を…」
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byJ.LEAGUE
posted2022/08/27 17:02
浦和レッズ2年目、2003年に長谷部誠はJリーガーとしてリーグ戦デビューを飾った。しかし2002年の1年目、ルーキーイヤーは……。
心もとない新人記者の立場として彼の姿を近くで見ていた私は、新たな環境、境遇下でもがき苦しんでいる18歳の若者に自身を投影させていた。このとき初めて、私は長谷部誠という人物を正しく認識したのかもしれない。
38歳の長谷部は、プロらしい振る舞いで取材対応を
2022年8月5日。ドイツ、フランクフルト・アム・マインにある『ドイチェ・バンク・パルク』のピッチに38歳の彼が立っている。試合終盤からの途中出場に留まり、試合も1-6で大敗と、彼とチームにとっては不本意極まりないゲームだった。それにもかかわらず、彼はミックスゾーンで私を視認すると達観した表情で前に立ち、プロらしい振る舞いで取材対応を始めた——。
彼がこれまで辿ってきた道のりには、眩い光だけが降り注いでいたわけではない。日本の四季のように情緒豊かな移ろいの日々が、長谷部誠というプロサッカー選手と、その人物像を織り成した。
ドイツで生きる長谷部誠の2022-2023シーズン。その一挙手一投足を見つめ、その歩みを綴りたいと思う。
<つづく>
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