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野球クロスロードBACK NUMBER
創部初・甲子園ベスト4の裏で…聖光学院キャプテンがこぼした“切実な告白”「夏の大会が怖くなったか?」「それもあるんですけど…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/08/27 11:01
斎藤智也監督に「今年はグラウンドに監督がいる」と評された聖光学院のキャプテン・赤堀颯
勝ち上がるたびに、赤堀が兜の緒を締める。
「今までの壁を越えて、初めて『無類』になれると思っているんで」
「自分たちの強みは、逃げ道を断って前に進むことです」
聖光学院は「死のブロック」を勝ち抜きベスト8となり、そして、準々決勝で九州学院に勝利し、初のベスト4に進出した。
「何点取られても、何個エラーしても負けない覚悟、器を持って野球ができています」
赤堀は言った。そのことを試されたのが、仙台育英との準決勝だった。
1点を先取した直後の2回表。投手陣が連打を浴び、守備のミスも重なり大量11点を奪われる。試合の大勢は決した。それでも、声が聞こえる。躍動感が漲る。
「日本一を獲るためには『甲子園期間中も進化し続けないとダメだ』と思っていましたし、勝ちながら成長させてもらったことは事実ではあります。後輩たちも同じ景色を見て、空気を吸えたってことは大きかったです」
9回裏、2死一、二塁。点差は14点。
ランナーのユニフォームは真っ黒で、チーム名が判別できない。彼らは叫ぶ。三塁ベンチからもえげつなく声が飛ぶ。
バッターが空振り三振し、試合が終わる。
一塁ランナーが溢れる涙を拭おうとせず、その場に立ち尽くしている。
スタンドが、甲子園が気づく。
聖光学院のキャプテン、赤堀颯がいた。