マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER

“あの村上宗隆の弟”に本音で思った「あぁ、もったいない…」「でも野球は上手だわ」190cmの村上慶太…兄の高校時代を知る記者の取材メモ 

text by

安倍昌彦

安倍昌彦Masahiko Abe

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2022/08/24 17:00

“あの村上宗隆の弟”に本音で思った「あぁ、もったいない…」「でも野球は上手だわ」190cmの村上慶太…兄の高校時代を知る記者の取材メモ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

ベスト8まで進んだ九州学院。190cmの村上慶太(3年)は「4番・一塁」で出場した

 大きな期待に応えて、いい結果を出したいと思うほど、どうしても前(投手寄り)で打ち急いでしまう。早く結果が見たいという焦る気持ちもある。体が突っ込んでバットヘッドが早く出て、ボールの横っつらをひっぱたくようなスイングになりがちだ。

 敗れた聖光学院戦の4打席は二ゴロ3本に一ゴロが1本。すべて、そういうドアスイングになっていたし、1、2戦目でも、数打席でそんな打ち損じが見られた。

 ただし、ポイントを近づけるというのは、言うほど簡単じゃない。

 詰まる、差し込まれる、振り遅れる……そうした「リスク」を伴うからだ。差し込まれたドン詰まりの打球、振り遅れの空振り……どちらも、打者にとっては、これ以上ないほどの屈辱と敗北感に襲われ、ものすごくヘコむ。打者が最も怖れる「結果」であろう。

 しかし、詰まるスレスレのポイントで投球を捉えておいて、そこから鍛え抜いたパワーとヘッドスピードでグイッと押し返すようなフルスイングで、圧倒的な打球スピードと飛距離を生み出す……まさに、それが、兄・宗隆選手のバッティングのメカニズムではないか。

 差し込まれる一歩手前で、ドーンと受け止める。誰にでも出来る「芸当」じゃない。小柄な打者には、なかなかきびしい。兄・宗隆188cm97kg……これほどのボリュームと、究極まで鍛え込んだ体幹と下半身があればこその「荒ワザ」である。190cm95kgの慶太にだって、そこに近づける可能性は、この先の練習次第で十分あるだろう。

 まず、フルスイングの打球が高々と舞い上がり、三塁側スタンドに着弾する場面を早く見たい。それが出来ていれば、呼び込んで振り抜けている証拠だ。弾丸ライナーが外野を襲うなど、すぐだ。

「アアーッ!」もったいない…

 長く球筋を見極めて、最初は5回に1回かもしれないが、タイミングが合った時は、フルスイングでドカーン!と爆発するスラッガー……バッテリーにとって、こんなに怖いものはない。

 そうなるためにも、「ファーストストライク」を攻められるバッターになれたら。

【次ページ】 「アアーッ!」もったいない…

BACK 1 2 3 NEXT
九州学院高校
村上宗隆
村上慶太
平井誠也
國學院栃木高校
聖光学院高校
東京ヤクルトスワローズ

高校野球の前後の記事

ページトップ