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「なぜ6試合も延期できる?」巨人に問うファンへの謝罪と次にやるべきこと「選手にとってはシーズン中の1試合かもしれないが…」《大規模クラスターを巡って》

posted2022/08/05 11:00

 
「なぜ6試合も延期できる?」巨人に問うファンへの謝罪と次にやるべきこと「選手にとってはシーズン中の1試合かもしれないが…」《大規模クラスターを巡って》<Number Web> photograph by KYODO

後半戦、阪神から初勝利をあげファンに応える巨人・原辰徳監督、桑田真澄コーチ、阿部慎之助コーチたち

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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KYODO

 ファンが置いてきぼりではないだろうか。

 一連の巨人のコロナ禍による試合の延期の中で、ある球界OBからのこんな指摘に核心を突かれた思いが走った。

 巨人の菅野智之投手、丸佳浩外野手、岡本和真内野手ら主力選手を含む38人のコロナ陽性が分かったのは7月20日、神宮球場でのヤクルト戦の試合後だった。すでに19日には二軍の高橋優貴投手ら選手、コーチ、スタッフ17人が陽性判定を受けていて、この日の試合前にもドラフト1位の守護神・大勢ら2選手の感染が判明していた。これで2日間合計57人が陽性判定を受けたことになる。

 さらに翌21日にも山口俊投手ら10人が陽性判定を受け、一軍の試合に出場可能な支配下登録選手の約半数となる34人が感染して、試合に出場できない状況となっていた。

 クラスター発生を受けて12球団は21日に臨時実行委員会を開催。そこで22日から予定されていた中日3連戦の延期が決定した。一方、巨人では22日に原辰徳監督ら6人の新たな感染者が分かるなど感染は広がり続けていた。

 その後はオールスターブレークの期間を含めて1週間余りの時間があり、無症状の選手は規定の7日間を経て練習に復帰。しかし体力的な問題があって、29日からの後半戦開幕のDeNA戦の2試合がまず延期決定。さらに31日のカード3戦目も前日に延期が決まった。

「なぜ巨人は6試合も延期できるのか」というモヤモヤ感

  この間にファンの間からは、オールスター期間を挟みながら6試合も延期となったことに対して、「なぜ巨人だけこんな長期に試合が延期されるのか?」という疑問の声が上がっていたのは事実だった。

 背景にはヤクルトの事例があったと推察される。

 ヤクルトでは7月9日に山田哲人内野手、青木宣親外野手らの主力選手に高津臣吾監督ら首脳陣とスタッフ合わせて18人がコロナ陽性となっている。

 このときは9日と翌10日の阪神戦の2試合だけを中止にして12日からの中日3連戦はファームの選手を呼び寄せて試合を行なっている(うち1試合は雨天中止)。そうして山田が復帰した7月24日の広島戦まで9試合をやりくりしながら戦ったが、結果的には2勝7敗と大きく負け越すことになってしまった。

 なぜヤクルトは2試合しか延期にならず、巨人はオールスター休みも挟んで6試合も延期にできるのか。そこにファンのモヤモヤ感の大きな理由があったと想像できる。

【次ページ】 試合ができない理由と曖昧な説明

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