ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
2月に脳梗塞で戦線離脱、DeNA齋藤隆チーフ投手コーチが振り返る前半戦「復帰する時に妥協することなく彼らとともに歩いて行こうと決意した」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2022/08/01 11:02
身振り手振りを交えながら選手に言葉を尽くす姿が印象的な齋藤コーチ(右)
「もちろん現場でしかわからないことはあるわけで、スワローズでの経験は確実にプラスになっています。今はそれをベイスターズ流に落とし込んでいるところですね。選手と首脳陣の中和剤的な役割をしなくてはいけない場面もあるし、決断を迫られることもある難しい仕事。ただ、やっぱり選手がマウンドで活躍してくれればうれしいですし、上手く行っていない投手をいかに支えていくかという永遠の課題もあります」
こう言うと、齋藤コーチは一拍置いて、まるで決断したかのような口調でつづけた。
「妥協することなく彼らとともに歩いて行こうと、脳梗塞を患い復帰したときに強く決意したんですよ」
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春季キャンプ中の2月19日、夕食中に突如襲った目眩。体調不良を訴え沖縄県内の病院で診察を受けると、そのまま入院を余儀なくされた。診断結果は小脳の脳梗塞だった。幸い大事には至らず、3月に入ると齋藤コーチは現場復帰を果たした。
迷惑をかけるようならば辞めなければいけない
「そのとき選手たちに『お前たちと戦う準備ができた。ぎりぎり間に合った』と伝えたんです」
果たして入院中、なにか自分のなかで大きな変化などがあったのだろうか。
「生死にかかわるような病状ではありませんでしたが、もしチームに迷惑をかけるようならば辞めなければいけないと考えていたんです。しかし回復すると三原(一晃)球団代表に『齋藤さんになにもなくて本当に良かった』と非常に喜んでもらえて、また三浦(大輔)監督からも同様の言葉をいただきました。トップの人間しかり、多くのスタッフからも激励され、これは頑張らなきゃいけないなって強く思えたし、今もその気持ちは変わらないんです」