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「モリタはライオンだ!」前所属クラブの“処罰”を経て… 守田英正が加入スポルティングの内情は?〈名門移籍という諸刃の剣〉
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph bySports Graphic Number
posted2022/07/05 17:01
スポルティングの公式ホームページでいち早くユニフォーム姿を披露した守田英正。ポルトガル屈指の名門でどんな活躍を見せるか
たとえば、元日本代表FW中島翔哉は2017年、23歳でFC東京からポルトガルの中堅クラブ、ポルティモネンセへ移籍して大ブレイク。日本代表にも選ばれ、19年2月にカタールのアルドゥハイルに移籍したのち、同年7月に名門ポルトへ移籍した。しかし、コロンビア代表FWルイス・ディアス(現リバプール)らとのポジション争いで後手を踏み、監督の戦力構想から外れて期限付き移籍を繰り返している。2019年11月以降、日本代表からも遠ざかっている。
強豪クラブへの移籍は両刃の剣だ。レギュラー争いに勝ち、多くの試合に出場して活躍すればさらなるステップアップが望めるが、その反対に出場機会を減らすとキャリアを後戻りさせる恐れがある。強豪クラブは、「選手の墓場」となりかねない危険な場所でもあるのだ。
守田にとってライバルとなる選手は誰?
それでは、今季、スポルティングで守田は誰とポジションを争うのか。
3-4-3のフォーメーションでは、ボランチは2人。昨季はレギュラーがいずれもポルトガル代表のジョアン・パリーニャ(26)とマテウス・ヌネス(23)で、控えがウルグアイ代表マヌエル・ウガルテ(21)、元ポルトガルU-21代表のダニエル・ブラガンサ(23)、17歳のポルトガルU-19代表ダリオ・エスゴの3人だった。
このうち、パリーニャは移籍金1700万ポンド(約28億円)でプレミアリーグのフルアムへ移籍した。ヌネスもウォルバーハンプトンからオファーを受けているが、残留へ傾きつつあるようだ。
ヌネス、ウガルテ、ブラガンザはいずれも守田より若いが、市場価格はそれぞれ3500万ユーロ(約49億4000万円)、1500万ユーロ(約21億2000万円)、700万ユーロ(約9億9000万円)で守田の400万ユーロ(約5億6000万円)を大きく上回る。
今季、守田が自身のキャリアで最もハイレベルなレギュラー争いを強いられるのは間違いない。本人が言うように、「キャリアにおける最大の挑戦」に他ならない。
サンタクララでの1シーズン半で、守田は対人守備の強さに磨きがかかり、キープ力が向上し、ゴールへの意識が一層高くなった。
サンタクララは離島にあるため、アウェーゲームの際は長時間移動を強いられ、肉体的な負担が大きかった。首都リスボンのクラブへ移ったことでシーズン中の移動距離を減らし、肉体への負担を軽減することが可能となる。
スポルティングほどのクラブで成功を収めることができれば、世界トップクラブはすぐそこだ。彼のさらなる成長とステップアップは、日本代表にとっても非常に大きな意味を持つ。
新天地での新たな体験、そして自身初のW杯を迎えるであろうこれからの半年が、彼のキャリアと人生にとって最も重要な時期となるのは間違いない。
<#2につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。