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「モリタはライオンだ!」前所属クラブの“処罰”を経て… 守田英正が加入スポルティングの内情は?〈名門移籍という諸刃の剣〉
 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2022/07/05 17:01

「モリタはライオンだ!」前所属クラブの“処罰”を経て… 守田英正が加入スポルティングの内情は?〈名門移籍という諸刃の剣〉<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

スポルティングの公式ホームページでいち早くユニフォーム姿を披露した守田英正。ポルトガル屈指の名門でどんな活躍を見せるか

 昨季はクラブでも中心選手で、38試合に出場して2得点1アシスト。トルコ、イングランドなどのクラブが興味を示した後、今年3月、スポルティングから正式オファーを受けた。

サンタクララが守田に“処罰”を下したワケ

 ところが、その後、サンタクララと守田の間で多少の混乱があった。役員の一部が移籍金吊り上げを狙ってスポルティングが提示した条件を拒絶。移籍を望む守田が地元紙へのインタビューでクラブ側の対応に不満を漏らしたことから、以後の3試合で先発を外される“処罰”を科せられた。

 5月、地元各紙が「守田の移籍でサンタクララとスポルティングが合意」と報道。しかし、スポルティングが2021-22シーズンの会計年度終了後の移籍を望んだことから、正式発表が7月1日までずれ込んだ。

 守田は6月の日本代表の強化試合4連戦に招集されたが、練習中に左ふくらはぎを痛めてチームを離脱。しかし、現在はすでに完治しており、7月2日からスポルティングのチーム練習に参加している。

 チームを率いるルベン・アモリムは、37歳の青年監督だ。現役時代はMFで、ベレネンセス、ベンフィカなどで活躍し、ポルトガル代表にも選ばれて2014年W杯に出場している。

 2017年、32歳で現役を引退すると、2018年に指導者の道へ。主要フォーメーションは3-4-3で、低い位置からリスクを冒しながらパスをつないで攻め、ボールを失うと高い位置からのプレスですぐに奪回する「ハイプレスとボール・ポゼッションを融合させた独自のスタイル」を編み出した。

 2019年12月からポルトガルの中堅クラブ、ブラガを率いて10勝1分2敗の快進撃を演じると、2020年3月、「シーズン終了を待ったら、熾烈な獲得競争が起きる」と考えたスポルティングが違約金1000万ユーロ(約14億1000万円)を払って迎え入れた。監督を獲得するための違約金としては世界フットボール史上3位だった。

 スポルティング監督就任後のリーグの成績は、4位、優勝、2位。クラブの期待に十分に応えており、欧州レベルでも「若き名将」という評価を受けている。

中島翔哉はポルト移籍後、不遇をかこった

 守田は、大学卒業後、Jリーグで2季、欧州小クラブで2季プレーした後、欧州の名門に到達した。日本人の大卒選手としては理想に近いキャリアと言っていいだろう。

 しかし27歳という年齢は、若年化が進む世界のフットボールにおいては決して若くない。また、過去、欧州の中小クラブで活躍してビッグクラブへのステップアップを果たしながら、高いレベルのレギュラー争いに敗れてキャリアを後退させた日本人選手が何人もいる。

【次ページ】 守田にとってライバルとなる選手は誰?

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