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プロ野球PRESSBACK NUMBER
中日前指揮官・与田剛が語る“プロ野球監督”という仕事「すべて思い通りになるのは1割、2割」…在任中に思い浮かべた“あの名将たち”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byYuki Suenaga
posted2022/07/04 11:01
2019年から昨年まで中日ドラゴンズを率いた与田剛氏。監督生活3年間を振り返ってもらった
「負けたあとは水すら飲む気力もなくなる」
――うまくいかなかった時、「あの監督だったらどうしてたかな」と考えてしまうことはありましたか。
与田 やっぱり星野仙一さんや野村克也さんを思い浮かべることは多かったですね。落合博満さんの時もありました。監督に就任してすぐに監督室に歴代の監督25人の写真を飾ってもらいました。12球団の中で巨人、阪神についで3番目に古い球団ですし、歴史の重みを感じながら試合に臨むべきだと思ったので。やっぱり直接、指導を受けたことのある監督の写真は、眺めながらいろいろな会話を思い出していました。
ただ、負けて監督室に戻ってきた時は、星野さんの顔が怖く見えてね……。特に負けたあとは監督室の椅子に座ると、もう、しばらく動けないんですよ。水すら飲む気力もなくなる。負けた試合は、監督のミスが絡んでいますから。
――勝った時は星野さん、落合さんの顔も優しく見えるのですか。
与田 それが不思議なことに、勝って褒められているような気分になったことは一度もないんです。負けた時は決まってお説教されているような気分になるんですけどね。なんでなんですかね。監督室を出る時、歴代の監督に手を合わせて、「今日は勝たせてください!」といつもお願いしていました。試合中も、最善を尽くしたあとは手を合わせていましたね。心の中で。頼むぞ、って。(つづく)
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