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プロ野球PRESSBACK NUMBER
中日前指揮官・与田剛が語る“プロ野球監督”という仕事「すべて思い通りになるのは1割、2割」…在任中に思い浮かべた“あの名将たち”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byYuki Suenaga
posted2022/07/04 11:01
2019年から昨年まで中日ドラゴンズを率いた与田剛氏。監督生活3年間を振り返ってもらった
与田 FA選手や大物外国人を獲ることはできませんでした。となると、自分のところで育てるしかない。石川は、地元出身の右のスラッガーでしたから、是が非でも獲りたい、と。根尾と並ぶ将来のスター選手にしたいという球団と私の思いもありました。高卒の選手は芽が出るまでだいたい2、3年かかるので、すぐにレギュラーになれるかといったら難しいですよね。でも最終的に監督の仕事は、与えられた戦力でベストを尽くすことですから。そこをしっかり考えていました。
立て直した投手陣、好転しなかった打撃陣
――結果的に1年目は5位でしたが、2年目は3位と8年振りにAクラス入りを果たし、契約最終年となる3年目は優勝争いを期待されながらも5位に終わりました。3年目、チーム防御率は12球団1位(3.22)となったように、投手陣は見事に立て直しましたよね。中でも就任前年、0勝に終わっていた大野雄大投手を再生させたことで、投手陣にグッと厚みが出ました。
与田 よく雄大を育てたって言われるんですけど、これは本人とコーチ、スタッフみんなの力でなし得たものだと思います。投手陣の成績は野手の助けがあってこそです。大野に関しては、2018年に2人で話をした時、「今までで一番悔しかっただろう。これまで以上に、本気になると思うよ」と話しました。結果がうまくいかなくても、そこで選手が何を感じ、考えていたかが大事。森監督をはじめ、先代の関係者との積み重ねが、たまたま私の代に花が開いただけだと思います。
他の選手たちに関しても、結果が出なくてもその原因を追求して、次につなげてほしいと考えていました。もちろん、起用している時は、打ってくれると思って使っているんですけど、打てなくてもそこから何かを得て、のちにその経験を活かしてくれればいいとは思っていました。
――投手陣は年々充実度を増していったのに対し、攻撃陣の方はチーム打率が2021年にセ・リーグ6位(.237)と、最後まで思うように運ばなかった印象があります。
与田 攻撃だけでなく、結果が伴わなかったことは私の責任だと思っています。もちろん、そのときどき最善を尽くして、出すピッチャーはみんな抑えてくれるだろう、送り出すバッターはみんな打ってくれるだろうと考えていました。でも、すべて思い通りにいくことは1割、2割……よくて3割くらいなんじゃないかな。