中日前指揮官・与田剛が語る“プロ野球監督”という仕事「すべて思い通りになるのは1割、2割」…在任中に思い浮かべた“あの名将たち”

監督就任時に考えた「3年間で何を残すか」

――与田さんは、ルーキーイヤーに最優秀救援投手賞と新人王をとるなど華々しいデビューを飾った現役時代、そして楽天で3年間コーチ経験を積んだのち、2019年に中日の監督に就任しました。

与田　私は現役時代、3回クビになっています。そんな人間が監督になったのは初めてだったんじゃないかな。だからこそ球団には感謝していますし、ドラゴンズには挑戦する気持ちをもっていただいたということ。その気持ちにどう応えるか、オーナーや球団関係者とも色々話をさせていただいて私が真っ先に思ったのは、何かを大胆に変えるというよりも、次の監督にどうつなぐか、ということでした。

現役時代　©BUNGEISHUNJU

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――当時、チームは6年連続でBクラスが続き、計13年間チームに携わった森繁和監督の退任を受けての就任でした。リーグ優勝やAクラスに向けてのチーム再建を期待されていたんでしょうね。

与田　就任が決まった際、すでに根尾（昂）をドラフト1位指名することは決まっていました。即戦力もほしいところですが、地元・岐阜出身の根尾を将来、看板選手に育てたいという球団の思いも伝わってきました。私の契約期間は3年だったのですが、現実的には1年目から根尾が一軍の戦力になるのは難しいだろうと。なので、私に与えられた3年間は、将来のスター選手をじっくり育てていく、そういうタイミングだったんだと理解しました。

――根尾選手だけでなく、翌年は石川昂弥選手、就任3年目は高橋宏斗選手と、3年連続で高卒の選手をドラフトで1位指名することになりました。いずれも地元出身で、将来性は高かったものの、すぐに計算できる選手ではありませんでしたよね。

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