猛牛のささやきBACK NUMBER
「日本ハムでやっていた時とは違うんだぞ」プロ野球史上初の快挙を逃した37歳増井浩俊に響く、オリックス中嶋監督の“親心”
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2022/06/14 18:20
ヤクルト内山に先制の二塁打を浴びて悔しそうな表情を浮かべるオリックス増井
静岡高、駒沢大、東芝を経て2009年のドラフト5位でプロ入りして以来、中継ぎ、抑え、先発と、チームに求められる役割をその都度果たし、12年間で41勝、163セーブ、158ホールドを積み重ねてきた。
増井が「12球団セーブ」を達成したのはオリックスに移籍1年目の2018年だった。その頃は、タイトルや記録への強いこだわりを口にしていた。
「やっぱり欲しいですよ。僕は“記憶に残る”タイプというより、“記録で残す”タイプの選手だと思うので。そんなに人気選手というわけではないし、目立つタイプじゃないから。だからしっかり記録で、プロ野球界にいたことを残せたらなと思っているんです」
史上初の「12球団勝利&12球団セーブ」達成のチャンスは来年以降に持ち越された。だが増井は今、「それはもう、あまり意識はしていません」と言う。今月で38歳。来年もチャンスが約束されているわけではないことはわかっている。
「とにかく、まずは現役でやれること。その中で、そういうことができればいいですけど、まずはちゃんと戦力として残っていけるように、1試合ずつ頑張っていかないといけないなと思っています」
9日の試合後、中嶋監督は、「5回2失点、十分だと思います。良かったと思います」と評価した。
翌日登録を抹消されたが、監督の助言をきっかけに、この6月、調子を上げているのは事実。次は“勝利”というかたちで、戦力であることを証明する。
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