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「日本ハムでやっていた時とは違うんだぞ」プロ野球史上初の快挙を逃した37歳増井浩俊に響く、オリックス中嶋監督の“親心”

posted2022/06/14 18:20

 
「日本ハムでやっていた時とは違うんだぞ」プロ野球史上初の快挙を逃した37歳増井浩俊に響く、オリックス中嶋監督の“親心”<Number Web> photograph by KYODO

ヤクルト内山に先制の二塁打を浴びて悔しそうな表情を浮かべるオリックス増井

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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KYODO

 交流戦のヤクルト戦で、今季初の一軍昇格を告げられた時、オリックスの右腕・増井浩俊の胸中には、驚きと感謝が入り混じった。

「びっくりしました。ファームでもいい投球が続いていたわけではなかったので、自分の中では、まだ呼ばれないだろうなというのがありましたから。ヤクルト戦だから、記録がかかっているから投げさせてもらえるんだなというふうに感じましたね」

 増井にとってヤクルト戦は特別な意味を持つ。

 増井は日本ハムでの8年間とオリックスでの昨年までの4年間で、全12球団からのセーブ、ホールドと、11球団からの勝利を記録しており、残るヤクルトから勝利を挙げれば、史上初の「12球団勝利&12球団セーブ・ホールド」の快挙達成となる。

 その記録をかけて、6月9日のヤクルト戦に先発した増井は、初回からストレートが走った。

「今年、今まで投げた中では一番よかった。最近やっと球が走るようになって、いいまっすぐが行っていたのでちょっと自信はあったんですけど、今日は思っていた以上によかった」と振り返る。

 それだけに、2回に2死から四球と安打で奪われた2点を「もったいなかった」と悔やんだ。

「自分の意志をしっかり持って投げろ」

 それでも3回以降は捕手・伏見寅威の盗塁阻止にも助けられながら0を並べる。5回表には2死二、三塁のピンチを招くが、ヤクルトの3番・山田哲人を、渾身の151キロで空振り三振に取った。

「あそこは絶対0で抑えて5回裏につなげたかったので、本当に最後の力を振り絞っていきました。球数的にも、あの回までじゃないかなと思っていたので」

 しかし打線の援護は1点のみ。増井は5回で降板し、勝利は得られなかった。

 増井は試合後、悔しさをにじませながらも、「監督には『自分の意志をしっかり持って投げろ』というふうに言われていた。それはちゃんと今日、やれたかなと思います」とうなずいた。

 そのアドバイスが届いたのは5月末だった。

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