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《伝説を止めた新球》イチローのバットが空を切った217打席目…下柳剛が語る“真っ直ぐの投げそこない”の真相「姑息ですね(笑)」
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/06/25 06:02
記録更新中でも、カウントで追い込まれても、恐れずにバットを出すイチロー。一人だけ常識の外で野球をしていた
「彼にシュートの存在を知られたくなかったから。姑息ですね(笑)。ただ、やっぱりイチローが三振したシュートですから、その後、自信を持てたというのは事実です。それまでそんなに自信のなかったボールが、相手に嫌がられるボールに成長してくれたきっかけが、あの三振でした」
その後、シュートは下柳の代名詞となり、踏み込んでいくと病院送りになる、そのボールは左打者に恐れられるようになった。それを武器に先発投手の座を勝ち取り、通算129勝へと駆け上がっていった。
山下はその姿を見届けた後、翌年限りでユニホームを脱いだ。
たかが3ストライク。だが、それを分岐点に、ある者は投手としての生き方を見つけ、ある者は長年の問いに1つの答えを確認することができた。
三振にはドラマがある。それは1人の天才打者と彼に挑んだ投手たちが巻き起こした熱く、誇らしい狂想曲だった。
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