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中日・根尾昂の“あるデータ”にスコアラー驚愕「え、こんないい数値、どのピッチャー?」…岡本和真&佐藤輝明を抑えられた理由とは
posted2022/06/27 11:01
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Sankei Shimbun
中日の根尾昂のポジション登録が、6月21日に投手に変更された。いよいよ野手から投手への本格挑戦がスタートしたわけであるが、前回はその是非、というよりも否定的な意見がかなり多いという内容の記事を書いた。専門家からも野手として成功する可能性はまだ残っているのではないか、3年以上のブランクがあるのに安易に転向していいのかなど、疑問視する声をかなり聞いた。
しかし、風向きは明らかに変わった。変えたのは投手・根尾の実力である。登録変更の2日前(19日)、根尾は3試合目にして初めて本拠地・バンテリンドームのマウンドに上がった。まだ投手陣での立場は敗戦処理なので、当然その日の巨人戦もリードを許していた。9回二死からの登板。3万人以上の観客が入っていたスタンドは、まるで勝ち試合かのような大歓声に包まれた。しかも打者は岡本和真。昨季まで2年連続の二冠王を相手に投げさせることで、根尾の実力を測り、経験値を上げようというねらいだった。
結果は期待以上。スライダーと149キロのストレートで初めての空振りと三振を奪ったのだ。その翌日には、早くもダルビッシュ有が反応した。
「プロで投手経験がほとんどないのに、あれだけの球をストライクゾーンに投げられているだけで凄いです!課題というか伸び代しかないなという印象ですね」「根尾投手、素晴らしいですね。スライダーも一級品です」と自身のツイッターに投稿。専門家どころか現役最高峰の投手が、根尾の投球映像を見て絶賛したのである。
対戦した阪神・佐藤輝「凄く雰囲気がありました」
登録変更後、初のマウンドとなった22日のヤクルト戦(バンテリンドーム)では、わずか9球で三者凡退に。昨シーズンベストナインの塩見泰隆から自己最速の152キロで空振り三振を奪っている。
25日の阪神戦では、大阪桐蔭で春夏連覇を達成した思い出の甲子園で登板。立浪和義監督が「どれくらい通用するかを、こちらも見たかった」と、佐藤輝明からの打順に投げさせた意図を説明。岡本に続いてクリーンアップとの対戦だったが、一死から大山悠輔にライト前に打ち返され、糸原健斗にはプロ初の四球を与えた。一、二塁から小幡竜平にレフト前へヒットを打たれ、初失点。しかし、149キロで一塁ゴロに打ち取られた佐藤は、試合後に根尾の印象をこう答えている。