熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「レアル・マドリーで久保建英(市場価格12億円)のはるか先にいる男」ロドリゴ21歳が“54億円の超新星”に上り詰めるまで
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/06/04 17:00
久保建英とロドリゴ。レアル・マドリーが保有権を持つ2人の出世争いはどうなるか
サンパウロ郊外で生まれ、10歳でサントスのアカデミーへ。憧れの選手はネイマールで、「プレースタイルから髪型まで、すべて真似た」と言う。
当時は主として左ウイングとしてプレーし、スピードとテクニックを生かしたドリブルで縦へ突破すると、中へ切れ込んで強烈なシュートを放った。
2017年11月、ネイマールより3カ月早い16歳10カ月でデビューし、2018年3月、17歳2カ月にしてコパ・リベルタドーレスでウルグアイの名門ナシオナル戦で初ゴール。当時、夜間高校の生徒で、試合後、ツイッターで「先生、今日は試合があったので欠席しました。でも、点を取ったので許してください」と発信して話題になった。
以来、多くの欧州ビッグクラブからオファーが舞い込む。
最終的にレアル・マドリーとバルセロナの“スペイン・ダービー”となり、レアル・マドリーが移籍金4500万ユーロ(約61億5000万円)を積んで獲得した。一方、久保はFC東京から移籍金なしで完全移籍しており、同期生といえども2人のスタートラインは同じではなかった。
長友がいたガラタサライ戦でハットトリック達成
2人はプレシーズンの北米遠征で試された後、ロドリゴはトップチームとBチーム「カスティージャ」(スペインリーグ3部)を掛け持ちでプレーすることになり、久保はマジョルカへ貸し出された。
ロドリゴは、9月14日にカスティージャでプレーした後、25日のラ・リーガ、オサスナ戦で後半途中から初出場。斜め後方からのロングパスを見事にコントロールしてすぐに前を向き、マーカーを抜き去って右足で初得点を決めた。
10月末のレガネス戦で初先発して、2点目。さらに、11月の欧州CLガラタサライ(トルコ)戦でハットトリックを達成した(この試合で彼をマークしたのが、日本代表左SB長友佑都だった)。
欧州CLでの18歳301日でのハットトリック達成は史上2番目の若さであり、両足と頭による“完全ハットトリック”達成は史上最年少だった。
このセンセーショナルな活躍が認められて11月、ブラジル代表に初招集され、アルゼンチン戦と韓国戦で後半途中からプレーした。
昨シーズンは伸び悩んだが今季は9得点10アシスト
レアル・マドリーでの最初のシーズンの成績は、リーグ戦19試合に出場して2得点、欧州CL5試合で4得点3アシスト、カップ戦も合わせると26試合で7得点3アシストだった。
ただし、昨季は故障もあってやや伸び悩み、リーグ戦で22試合に出場して1得点6アシスト、欧州CLでは11試合で1得点2アシスト。計33試合で2得点8アシストだった。