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オリンピックPRESSBACK NUMBER
盟友・小平奈緒のレース中に放送席で…イ・サンファが明かす北京五輪“あの涙の理由”「ナオの姿には自分の姿も映って見えた」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byMark Hoffman/USA TODAY Sports/Sipa USA/JIJI PRESS
posted2022/06/03 17:04
いまだ破られないスピードスケート女子500mの世界記録36秒36を保持したまま、19年に引退したイ・サンファさんに、小平奈緒との関係やエピソードを聞いた
「あの日のスケジュールはナオにとってタイトだったんです。試合が終わったのが午後3時で、飛行機の出発は午後6時。私はそのスケジュールを知っていましたから、手助けをしたのは当然のことでした。ただ、私としてはナオでなく他の選手であっても同じようにやっていることですので、そのことが話題になったのは少し意外でした。ナオがありがたく思ってくれていることを知って、そこで初めて『自分はいいことをしたのかも』って(笑)」
平昌五輪のレース後、2人が話したこと
18年平昌五輪では泣きじゃくる李さんに小平が「チャレッソ(よくやった)」と韓国語で声を掛けたことも話題になった。当時、小平は「サンファ、たくさんの重圧の中でよくやったね。私はあなたをリスペクトしているよ」と語りかけていたことを会見で明かしつつ、「サンファからも『ナオこそ、チャレッソだよ』と言われました」と語っていた。
今回のインタビューで李さんに、平昌五輪で小平に言った「チャレッソ」の真意を尋ねた。
「平昌五輪の時、私は500mに集中するために、その前にあった1000mを棄権しましたが、ナオは1500mと1000mのレースにも出てから500mを迎えていました。体力的に負担もあったはずなのに素晴らしい滑りをしたナオに、私は、『多くのレースに出て、勝ったナオこそチャレッソだよ。私も誇りに思う』と言いました」
それにしても世界のトップを争う関係でありながら、2人がこれほどまで心を通い合わせ、互いに優しい気持ちでいられたのはなぜだろうか。李さんはこのように言う。