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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
“セルヒオ・ラモスが大炎上のCL脇固め事件”の雪辱ならずも… サラーが「来季も残るよ」とリバプール愛を貫くワケ
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph bySoccrates Images/Getty Images
posted2022/06/12 11:00
21-22シーズンのCLファイナルでも先発したサラー
結果が変わっていたかどうかはともかく、サラーがいれば試合は全く違うものになっていただろう。一瞬の出来事がリバプールに大きな影を落とした。
「決着をつけるべきスコアがある」
あれから4年。リバプールは再びレアル・マドリーとファイナルで相まみえることとなった。
昨季のCL準々決勝でレアルと対戦した際(ラモスは負傷で2戦とも欠場)、「あの試合は過去のこと」と流していたサラーだが、今回はかなり意気込んでいたようだ。
決勝のカードが決まった直後、自身のInstagramに「決着をつけるべきスコアがある」と投稿。そして『スカイ・スポーツ』のインタビューで珍しく4年前のファイナルを振り返った。
「あの試合は、ただただがっかりして落ち込んだよ。『勘弁してくれ、こんな試合じゃだめだ!』って。でも時間が経つと忘れさせてくれた」
「(試合の後)何日か仕事をして、そのあとに休暇に入った。休暇の間に自問したんだ。何がしたいんだ?泣き続けて、悲しみに暮れて、落ち込むのか?それとも反撃に出るのか、って。僕はベストな形で反撃したからこそ、今ここにいる」
今季も簡単な道のりではなかった。シーズン中にAFCONの決勝で敗れ、カタール・ワールドカップ行きも逃した。きっと精神的には苦しいであろう中でもリーグの得点王を獲得し、PFA(イングランドプロサッカー選手協会)が選ぶ年間最優秀選手にも輝いた。
不屈の精神で立ち直ったサラー。だからこそ何年にもわたり、リバプールの絶対的なエースとして君臨し続けている。
残念ながらリベンジを果たすことはできなかった。最後までティボー・クルトワの厚い壁を破ることはできず、再び白い巨人が頂点に立つ目撃者になった。不本意な戦いに終わった4年前と異なり、今回はいくつもの勝機があったなかでの完敗だった。
それでも、リバプールの歴史とサラーのキャリアはこういうものではないだろうか? 全てが上手くいくわけではない。栄光と挫折を繰り返して、そうしてファンに愛されてきた。
長い暗黒期から抜け出しようやく欧州の最高峰へと返り咲いたリバプール。チェルシーで花咲けず、それでもイタリアで復活し、今や世界を代表する点取り屋となったサラー。
4年前ファイナルで敗れたチームは、その1年後にビッグイヤーを掲げた。再びマドリーに敗れたからと下を向くのは、クラブの哲学が許さないだろう。
4冠という大きな夢に挑戦し、あと一歩届かなかった。この失望を、苦しみを、次のステップへの糧とするのがリバプールであり、サラーである。
「間違いなく来シーズンもリバプールに残るよ」
CL決勝前日会見で明言した際、仮に翌日の試合に勝とうが負けまいが、まだまだ満足し足りない様子で来季を見据えたかのように、モー・サラーの口元はニヤリと笑っていた
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。