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“セルヒオ・ラモスが大炎上のCL脇固め事件”の雪辱ならずも… サラーが「来季も残るよ」とリバプール愛を貫くワケ 

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三重野翔大

三重野翔大Shodai Mieno

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photograph bySoccrates Images/Getty Images

posted2022/06/12 11:00

“セルヒオ・ラモスが大炎上のCL脇固め事件”の雪辱ならずも… サラーが「来季も残るよ」とリバプール愛を貫くワケ<Number Web> photograph by Soccrates Images/Getty Images

21-22シーズンのCLファイナルでも先発したサラー

 ヨーロッパ柔道連盟はTwitterで「脇固めは危険な技だ。だから柔道では寝技への移行に使うのを禁止されている」と投稿。柔道でも禁じ手とされている脇固めをラモスが行ったと、対人競技のプロならではの鋭い指摘が入った。

 その数日後にはなんとエジプトの弁護士がラモスに対して10億ユーロ(当時のレートで約1270億円)の訴訟を起こした。さらにFIFAとUEFAに処罰を求める嘆願書がオンラインで提出され、これに53万5000人を超える署名が集まっている。サラーは母国の英雄的存在であるだけに、特にエジプト方面からの非難が集中したのである。

セルヒオ・ラモスが火に油を注いだワケ

 渦中のラモスの言動もまた火に油を注ぐことになる。

 試合から約2週間後、スペイン紙『AS』のインタビューに答えたラモスは「皆はサラーのことに注意を払いすぎている」と非難を一蹴。

「全てが拡大解釈されてしまうから僕は話したくなかった。あのプレーのことはよく覚えているよ。サラーは僕の腕を掴み、僕は反対側に倒れて、彼は(掴んだ腕と)反対側の腕を怪我した。そして皆は僕が柔道技をかけたと言っている」

「サラーとメッセージでやり取りしたけど、なかなかいい感じだったよ。痛み止めの注射を打てば、後半もプレーできていたかもしれないね」

 この言葉に対してサラーは「確かにメッセージを送ってきたけど、僕は『大丈夫』だなんて言ってない」と真っ向から否定。「僕を泣かせた人が、次は笑わせてくれるなんて最高だ」と皮肉交じりに返している。

サラーはW杯でも輝けなかった

 直後にエジプト代表としてワールドカップに出場予定だったこともあり、当時はフラストレーションが溜まるのも無理はなかった。万全を期して挑むはずだった本大会では初戦のウルグアイ戦を欠場。残りの2戦に出場し2ゴールを挙げたが、エジプトは3戦全敗でグループステージ敗退となった。

 エジプトはもちろん、あの日ビッグイヤーを狙っていたリバプールにとってもサラーの存在は絶大な影響があった。

 アンドリュー・ロバートソンが試合後、「サラーに起こったことは、誰にでも起こりうることだと思う。ただ(サラーがいなくなったことで)ちょっとだけリズムが崩れてしまった」と語れば、後にフィルジル・ファンダイクも

「意図的なものかどうか分からないが、サラーが抜けたあと精神面で何かが変わってしまった。突然マルセロ、ベンゼマ、ロナウドがトレント(アレクサンダー・アーノルド)の前に現れて、右サイド全体を自由にしたんだ。サラーがいたときにはそんなことをしていなかった」

 と、振り返っている。

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