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2月に始まった“根尾昂・投手プロジェクト”の裏側…立浪監督が目指す“大谷とは違う二刀流”とは?「何とか根尾を生かしていかないと」 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/05/25 11:03

2月に始まった“根尾昂・投手プロジェクト”の裏側…立浪監督が目指す“大谷とは違う二刀流”とは?「何とか根尾を生かしていかないと」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2月下旬から始まった「投手・根尾プロジェクト」の裏側とは?

 しかし、大リーグや増田のケースと根尾の起用は明確に違う。それは将来の二刀流を視野に入れており、準備をさせた上で、実戦で試してみたという点だ。大リーグや増田の場合はケガなく無事に登板が終わってくれればOKだが、根尾はすぐに結果を求められたわけではないにせよ、どんな球を投げ、打者がどう反応するかを首脳陣は見極めていた。

 “1次テスト”、二軍戦登板…根尾がマウンドに立つまで

 すでに沖縄キャンプで根尾はブルペンでの投球を披露している。その時は鵜飼航丞(うかい・こうすけ)、石川昂弥(たかや)、岡林勇希といった高校時代に名をはせた「元豪腕」たちも並んで投げた。「あくまでも野手の練習の一環」と説明されたが、どうやらこの日の投球が第1次テストだったようだ。通過したのは根尾ひとり。キャンプ終了後には野手の練習メニューの合間にブルペンへ通い、登板機会をうかがっていた。

 4月2日の広島戦(バンテリンドーム)は延長12回にもつれ込み、9人の投手全員をつぎ込んだ。この時、ブルペンでは「幻の10人目」として根尾が投球練習をする姿が、中継放送に映し出されていた。試合後には立浪和義監督も「万が一に備えて」と認めた一方で、翌日からは球団から中継各局へ、7回以降はブルペン内部を撮影しないよう申し入れている。それでも準備を重ねるにつれ、球団内部で根尾の二刀流構想を知る人も増えていったが「Xデー」当日まで、なるべく騒ぎにならないよう、配慮していたようだ。

 「Xデー」は一軍より早く、二軍戦で実現した。5月8日の阪神戦。舞台は高校時代に躍動した甲子園だった。打者5人から2つのアウトを奪う間に、3安打を打たれ、1点を失っている。そしてチーム内で新型コロナ感染が拡大したことを受け、一軍に再昇格。もちろん野手としての練習を行いつつ、首脳陣は投手としての一軍デビューも頭の片隅に置いていた。

【次ページ】 大阪桐蔭卒業から3年…根尾の“最終理想型”は?

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