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「今、NHLに最も近い日本人」平野裕志朗26歳…2部で活躍も、なぜ“下から2番目の契約”に？「契約社会は差別かというくらいきつい」
text by
和田隆文Takafumi Wada
photograph byKYODO
posted2022/05/26 11:01
“NHLに最も近い日本人”平野裕志朗26歳。今季、NHL傘下の2部でプレーし確かな成長を見せるも、言い渡された契約は…
「契約が切れる日」…示されたものは？
反則で相手の人数が減り、得点のチャンスになるパワープレーでは、シューターとして上のラインで起用されるようにもなっていた。シーズン後半には「最後までいられるだろうな」という感触のようなものをつかみ、契約が切れる25試合目が迫った。
契約は更新された。24試合目が終わったときに自身のエージェントを通じて聞かされたという。しかし、示されたのはAHL契約ですらなく、再びトライアウト契約だった。
平野は「裏にはお金のこととか、（シーズン終盤の）あと何試合かのためにAHL契約をする必要がないとか、チームが考えていたのかもしれない」と前向きに振り返る。契約は実績だけでなく、エージェントの格や腕に左右されることもある。北米のアイスホッケー事情に詳しい関係者は、今季の躍進を評価し、他のチームが名乗りを上げる可能性にも触れた。
4月中旬に日本代表合流のためチームを離れるまで、30試合に出場して5ゴール、7アシスト。「いつでも落とされる状態（の契約）だったが最後まで残れた。単発の補充という存在じゃなかった」と胸を張る。リンクではNHLを感じることができた。それでも、プレーだけでは覆せないシビアな格差が確かにあった。
「契約社会は、差別かというくらいきつい。それはすごく感じましたね。つらかった」
NHL昇格のカギは「いかにいい契約を勝ち取るか」
AHLでプレーする選手の契約は7つに分かれる。NHL契約が最上位で、若手育成枠のNHLエントリーレベル契約が続く。それに次ぐのがNHLとAHLのツーウェイ契約。さらにAHL契約、AHLと3部相当ECHLのツーウェイ契約があり、その下にトライアウト契約がプロフェッショナル、アマチュアの二つ。平野の契約は下から2番目だった。
