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《今年はイクイノックス》平成ダービー“最強の2着馬”は誰だ? 「16番人気だったライスシャワー」「三冠を逃したエアシャカール」
text by
石田敏徳Toshinori Ishida
photograph byJIJI PRESS
posted2022/05/30 06:01
1992年の日本ダービーの2着馬はライスシャワー(写真右から2頭目)。1着はミホノブルボン
ライスシャワーの単勝オッズは114.1倍だった
一方、馬の評価は競走成績のトータルで下されるもの。ダービーを含め、4回のGI2着を記録したウインバリアシオンは頂点のタイトルに手が届かなかったこと、平成最小の着差で敗れたエアシャカールは4歳時以降、未勝利に終わったことからも、「最強の2着馬」を探すにはやはり、ダービー後の成績も加味する必要があるだろう。30頭の2着馬のうち、「ダービーの後に複数のGIを勝った馬」は8頭。4、5歳時に春の天皇賞を連覇したフェノーメノ、また、3歳時の有馬記念で古馬最強のキタサンブラックをねじ伏せたサトノダイヤモンドもここに含まれる。
もう少しハードルを上げて「GIを3勝以上」とすると、該当馬は4頭だけ。ライスシャワー、ビワハヤヒデ、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイと錚々たる名前が並ぶが、なかでもユニークな存在といえるのが'92年2着のライスシャワーだ。
「有力候補の1頭」として大一番に臨んだ他の面々に対し、ダービーの時点でライスシャワーは18頭中の16番人気、単勝オッズは114.1倍と、まったく無名の存在に過ぎなかった。皐月賞8着、続くNHK杯も8着と見せ場のない敗戦を繰り返していたのだから無理もなかったが、レースでは無傷の2冠制覇を達成したミホノブルボンに完敗の後塵を拝しながらも、2番手追走から2着に粘り込み、大穴をあけた。非凡なステイヤーの資質はこの一戦を境に大きく開花。菊花賞では無傷の三冠制覇に挑んだミホノブルボンを差し切って春の雪辱を果たし、翌春の天皇賞ではメジロマックイーンの3連覇を阻止、6歳時にも春の天皇賞を制し、ダービーの2着激走がフロックではなかったことを証明した。
藤沢和雄に聞いてみた「最強の2着馬は?」
ただ、続く宝塚記念のレース中に骨折し、儚い命を散らしたライスシャワーはその血を後世に残せなかった。「3強」と並び称されたライバル(ウイニングチケット、ナリタタイシン)の中から、最終的には頭一つ抜け出した'93年の2着馬ビワハヤヒデも種牡馬入り後は不振に終わった。
しかしダービーは「種牡馬の選定競走」とも位置付けられてきたレースである。ならば種牡馬としての実績も考慮すべきではないか? このアプローチから浮かび上がるトレーナーがいる。
最強のダービー2着馬を探しているんです。調教師の藤沢和雄に本稿の趣旨を説明すると、彼はニヤリと笑ってこう言った。
「ウチの厩舎には何頭もいましたよ、最強の2着馬が」