「もちろん、メディアから批判されるのはスポーツの世界では当然です。ただ、かつて日本代表として戦ってきた先輩たちのコメントからは、選手に対する批判的なものが増えている感じを受けますね」

――日本代表経験者からリスペクトを欠いたような批判も意外と目立っていましたね。

「うーん……日の丸の重みを知っている者としての、言い方や伝え方というのはあるのではないかなと。（長友）佑都への批判も、戦術的な意見とかならばまだしも。日本代表が勝った試合のあとに評価ではなく誰かを批判するような風潮が多く、本質とは違うコメントが多かったと感じました」

香川と長友はザックジャパンで縦関係を構築した　©Takuya Sugiyama

勝利という結果が出たのであれば、それは評価しないと

――批判の一部は日本代表の価値を落としかねないようなものもあったかもしれません。

「やはり、代表で最終予選のようなシビアな戦い方を知っている人たちこそ、勝利という結果が出たのであれば、それは評価しないと。『批判はダメだ』というつもりは一切ないです。ただ、同じ舞台を経験した代表選手の発言から軽いものが多く、言い過ぎているのではないかとも思ったし」

――厳しい意見のなかにも、日本代表へのリスペクトや愛があると良いですよね。

「代表を応援してくれる人たちに向けて何かを伝えるとき、それにふさわしい伝え方があるのではないかなと。代表であの戦いを経験した人たちの言葉には、それだけの影響力があるからこそ、ですよね」

©Takuya Sugiyama

この前、岡ちゃんがオーバーヘッド決めたじゃないですか

――では、最後に。香川選手はカタールW杯までガムシャラにヨーロッパで成長を追い求め続けるという方針を貫き通しているのは何故なのでしょう？

「やはり、自分で一度、決めたことだからです。目標を簡単にあきらめたくないし、そこにトライしないと。あきらめてはダメだから。例えば、スペインへ行ったときもそうでした。スペイン挑戦がああいう形でいったん終わりを告げたのは、やはり悔しいという事実がある。でも、この先どうなるかわからない。

　あと、この前、岡ちゃん（岡崎慎司）がオーバーヘッドを決めたじゃないですか？　なんか自分の思いを受け継いでくれているような気がして、救われたんですよね」

――岡崎選手とはカタールW杯のメンバーとして再会しようという約束をかわしているのですか？

【次ページ】　なぜ戦い続けるのか……それが一番大きいのかも