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森保監督「今日W杯出場を掴み取ろう」強気采配だった三笘薫の投入… 鬼門アウェイで豪州を下した“要因と意義”とは?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJFA/AFLO
posted2022/03/25 17:20
三笘薫、原口元気の投入には森保一監督の強気、そして日本代表の選手層の厚さがしっかりと見えた
守田が「より安定してボールを運べるようになった」と分析した後半も15分を経過すると、日本は上田綺世と中山雄太を送り込む。オーストラリアのお株を奪ってボール保持の傾向を強め、真綿で首を絞めるかのように、サッカールーズを追い詰めていく。
後半24分には上田が際どいシュートを放ち、後半35分には南野がこの日4度目となる決定機を迎えたものの、DFのクリアに遭った。
勝ち点3差でオーストラリアを上回る日本としては、この試合に引き分けたとしても、大きなアドバンテージをもってベトナムとの最終戦を迎えられる。
スコアが0-0で進んで焦りを感じるのは、オーストラリアのほうだ。しかし、0-0で終盤に突入した場合にピッチ内の意思統一が乱れかねないのは日本のほうだ。
三笘・原口投入で指揮官が選んだものは明らかだった
判断の分かれ目は、残り10分を切る頃。そして、後半38分に森保一監督が動く。
選んだカードは、三笘薫と原口元気――。
指揮官が何を求めたのかは、明らかだった。
あくまでも勝利を目指す強気の采配を振るうことに、逡巡はなかったという。
「選手たちには、今日は勝利を目指して戦って、W杯出場を掴み取ろうと話していた。そう考えた結果の選手交代であり、采配でした」
その三笘がゴール前に飛び込み、山根視来のクロスに合わせてW杯の出場権を手繰り寄せる。5分後には自らのドリブルで相手守備陣を切り裂き、ダメ押しゴールをねじ込んだ。
あの時間帯に三笘というスーパーサブを送り込み、勝負を決めた日本の選手層とタレント力は、明らかにオーストラリアを上回っていた。
ゼロに抑えた上で「最終的には勝ちに行っていた」
オーストラリアはジェイミー・マクラーレン、ブルーノ・フォルナローリという2人のストライカーを送り出してきたが、最後までオーガナイズを崩さず、チャンスを許さなかった守備陣の奮闘も見逃せない。
守田が言う。
「まずはゼロに抑える。引き分けでいいということではなく、相手をゼロで抑えることがこの試合で一番大事なことだと思っていたので、それができたうえで点を取れて勝てたのは嬉しいです。最終的には勝ちに行っていましたし、引き分けに終わっていたとしたら、逃げられたなっていう感覚だったと思います」
振り返れば、昨年10月にオーストラリアとの第4戦を迎えたとき、両チームの置かれた立場は正反対だった。