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「ライスシャワーの最期に号泣したよ…」新日ジュニア王者エル・デスペラードが熱弁する“ウマ”への深い愛情《同名馬が新馬戦を快勝》
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/03/19 11:01
新日本プロレスで活躍するエル・デスペラードと“競走馬”エルデスペラード号。同じデザインのマスク(メンコ)が微笑ましい
活躍を期待する気持ちよりも、強い思いがある。
「サイレンススズカの最期を見ていたし、ゲームから現実を知っていく過程でライスシャワーの事故の映像も見て……号泣したよ。あれは耐えられない。ゆうきまさみ先生の『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』も読んでいたから、馬が走ることの大変さは理解しているつもり。とにかく無事に走ってほしい。活躍よりも、まずは無事に。それだけだよ」
3月12日のレースでは、後方からの競馬のまま伸びずに7着。8頭でスタートしたレースだったが、ゴールを走り抜けたのは7着のエルデスペラード号が最後だった。
最後の直線でハイコースト号が転倒し、頚椎関節脱臼のため死亡。松山弘平騎手は病院に搬送され、頭部外傷と診断された。
無事に走り終えたエルデスペラード号には次がある。それは当たり前のようで、かけがえのないことだ。見守るデスペラードにとっても、無事を第一に祈る思いはこれからも変わらない。
最後にどうしても伝えたいことがあれば、という問いかけに、デスペラードはグッと身を乗り出した。
「『ウマ娘』はいろんなところからお名前をお借りしてやってるんだから、著しくイメージを損なう二次創作はやめてくれよ! そこは紳士協定だろ、お前ら。なにかあったら無くなるんだぞ!」
楽しいことを求める王者は、楽しみを奪われることを許さない。
そのための大事な道具でもあるベルトを彼から奪うのは難儀だろう。しかも、武道館でオカダに言われた言葉によって、その勢いは更に強まりそうだ。
「オカダの『こんなもんじゃないだろ』ってのは、ジュニアのチャンピオンがヘビーのチャンピオンを食う日もあるんだ、ということ。俺はそう受け止めたよ」
ジュニアのチャンピオンは次の“その時”を心待ちにしている。
「誰がヘビーのチャンピオンに勝てそうなジュニアなのか、って考えると、手前味噌だけど俺が一番可能性が高いんじゃねえかな……。たしかに持ち上げて投げるスタイルは夢があるよ。昔はスープレックスが最強だと思ってた。だけど、30分の消耗戦になった時に、最後の最後でヘビーのチャンピオンを持ち上げる力があるのか? となると、技の相性だよな。ロビーも関節技を使うが、ちと軽すぎる。ま、こんなもんじゃないでしょ、と言われたんでね。こんなもんじゃないところを見せますよ」
プロレスから競馬、ゲームに至るまで、すべてを楽しむ“ならず者”は、これからも様々な縁を引き寄せ、軽々とジャンルの枠を飛び越えてしまうだろう。
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