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「あの瞬間、ベイダーはモンスターになったんだ」猪木を3分で倒した“最強外国人レスラー”衝撃デビューの真相《WWE殿堂入り》
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byAFLO
posted2022/03/12 11:01
1987年、TPGの刺客として登場し、アントニオ猪木から3分足らずでピンフォール勝ちを収めたビッグバン・ベイダー
ベイダーは“日本が生んだ最強外国人レスラー”だった
それだけの大怪我をさせられたのなら私怨が残りそうなものだが、その後、後腐れは一切なかったという。
「スタン・ハンセンは、私がAWAでデビューした時の世界チャンピオンで、日本でも長年トップで活躍したレスラー。リスペクトしているし、彼とは友だちだよ。あの頃のプロレスは、それだけタフなものだったんだ」
その後、ベイダーはWCW、UWFインター、WWEで活躍後、98年から全日本プロレスにレギュラー参戦すると、ハンセンと最強のタッグチームを結成。ハンセンが引退後、2016年にWWE殿堂入りをはたした時、インダクター(プレゼンテーター)を務めたのは他ならぬベイダーだ。日本で活躍した外国人レスラーのツートップである両者は、いわば戦友のようなものなのだろう。
そして今年、ベイダーがWWE殿堂入り。世界中の主要タイトルを総なめにしたベイダーが、唯一WWEで世界王座を獲得することはできなかったが、63歳で亡くなってから4年後にそれ以上の勲章を手にすることとなった。
アントニオ猪木、藤波辰爾、橋本真也、高田延彦、三沢光晴、小橋建太という世代も団体も異なる日本のエースと数々の名勝負を残した、日本が生んだ最強外国人レスラーであるベイダー。その偉業を誇りに思うとともに、心からの賛辞を送りたい。
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