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「時は来た!」蝶野正洋はなぜ笑った? 裕福な家庭で育った元暴走族の青年が“黒の総帥”に上り詰めるまで

posted2022/02/10 11:00

 
「時は来た!」蝶野正洋はなぜ笑った? 裕福な家庭で育った元暴走族の青年が“黒の総帥”に上り詰めるまで<Number Web> photograph by Yukio Hiraku/AFLO

「黒の総帥」というキャラクターで人気プロレスラーの地位を確立した蝶野正洋

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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Yukio Hiraku/AFLO

 32年前(1990年2月10日)、新日本プロレス・東京ドーム大会のメインイベントは「アントニオ猪木、坂口征二vs橋本真也、蝶野正洋」だった。

 試合前、蝶野がテレビ朝日のインタビュー用カメラに向かい「潰すよ今日は。よく見とけよ、オラ!」とドスを利かせつつ凄んでいたが、続けて隣に立つ橋本真也が「時は来た!それだけだ」と、あまりに堂々言い放つや、蝶野が左手で口元を隠しつつ、咳払いをするような仕草で笑いをこらえている姿が話題となった。

 その動画は現在もなお、YouTube等の動画サイトで人気を集めていたりする。

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 32年前のあの日、笑いを我慢できなかった蝶野が時を経て、大みそか恒例の人気番組『笑ってはいけないシリーズ』で月亭方正(山崎方正)をビンタしまくっていたというのも奇縁だ。

「1・2・3・ダーッ!」も誕生した試合

 本人は一応「笑ってないよ」と否定していたものだが、「だって、ブッチャー(橋本のあだ名)がいきなり、あんなこと言い出すだもん。一体なに考えてんだよ……って」と言い訳。プロレスにおけるアジテーションやマイクを握っての挑発も、おおむね選手各々のアドリブセンスに丸投げされていた平成初期ならではの面白逸話である。

 思えばこの日は、蝶野の師匠・猪木も試合前に「出る前に負けること考える馬鹿がいるかよ!」とテレビ朝日アナウンサーにビンタをかまし、試合後は平成猪木の象徴ともなった「1・2・3・ダーッ!」をリング上から初披露するなど、試合以外でも、のちにモノマネされたり、語られたりするトピックが実に多い大会だった。

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