Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「湘南で満男さんのような存在に…」古巣復帰・永木亮太33歳 “背番号41の初心”と、鹿島を経たからこその“20代と違う貢献”
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byShonan Bellmare
posted2022/02/17 17:00
2013シーズン以来となるベルマーレ復帰を決めた永木亮太。鹿島で得た経験値を、湘南の地でどう還元するか注目だ
「自分が離れたあとも、一緒に戦った選手がたくさん残っていましたから、湘南の成績を確認したり、試合映像を見たりすることはありましたね。鹿島にいる年数が増えるにつれ、知っている選手も少なくなっていったんですけど、それでも心のどこかに古巣という気持ちがずっと残っていたので、気にしてはいました」
現地で見た湘南のルヴァン制覇と今季復帰の経緯
――2018年にはYBCルヴァンカップで優勝しました。どんな思いでした?
「あの試合は、現地まで見に行ったんですよ」
――埼玉スタジアムまで?
「はい。タイトルが懸かった試合でしたし、湘南は長い間タイトルから離れていたので。そのときはまだ一緒にやっていたメンバーも残っていましたし、曺(貴裁)監督もいましたから。応援したいという気持ちだけでスタジアムに足を運びました。だから、嬉しかったですね」
――今回、湘南からオファーが届いたとき、「すごく心が動いた」と。「鹿島で昨年、出場時間がすごく減って、もがいた時間が長かった。悔しさを鹿島でぶつけたい思いもあった」と新体制発表会で話していましたが、気持ちがどう揺れ動きながら、移籍へと傾いていったのでしょうか?
「実は湘南からは夏にも話をいただいて。そのときも僕のことをすごく評価してくれて、必要だと言ってくれたんです。でも、鹿島でやり残した感が自分の中にすごくあって、もう1回リーグ優勝したいという気持ちが強かったので、お断りしました。その後も試合に出られない時期が続いて、冬に再び声を掛けていただいて。坂本(紘司スポーツダイレクター)さんから、『湘南は若いチームだから、鹿島で培ってきた経験を伝えてほしい』ということと同時に、『亮太はまだ動けるし、全然衰えていない』とも言っていただいた。
自分でもそう思っていたんですけど、坂本さんから言ってもらえたことがすごく嬉しくて。その気持ちに応えたいという思いが強くなっていったんです。それに、湘南に戻るなら体が動ける元気なうちに復帰して、力を還元したいという気持ちもあったので、戻るならこのタイミングだなって。そういう思いで決断しました」
――移籍については誰かに相談したんですか?
「ほとんど自分で決めたんですけど、山本脩斗選手には話しました。鹿島でも一緒にやっていて、脩斗くんは昨年から湘南にいるんですけど、たまたま会う時間があって。悩んでいる時期だったので、脩斗くんにだけは相談しました。そうしたら『湘南に来たら、すごく面白いと思うよ』と。『亮太が来たら、チームにちょっと違う刺激が入って、それも面白い』とも言ってくれて。すごく前向きな言葉をもらったので、相談して良かったなと思っています」
鹿島での6年間、選手としての葛藤と大きな経験
――昨年は出場時間が減って、もがいた時間が長かったとおっしゃいましたが、個人的な印象としては、鹿島での6年間はずっともがいていたように感じられて。小笠原満男さん、柴崎岳選手、レオ・シルバ選手、三竿健斗選手、ディエゴ・ピトゥカ選手と熾烈なポジション争いを続け、スタメンを勝ち取ることもあれば、途中出場のときもあったし、サイドバックでプレーすることもあった。鹿島での日々は、思い描いていたものとは違ったかもしれないし、そうした環境を求めて行ったとも言えるのかもしれない。どうでした? この6年間は。