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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「田中碧と守田英正のサイドを入れ替えたことが大きい」中村憲剛が完勝サウジ戦を徹底分析「南野拓実は心憎いほど落ち着いていた」
posted2022/02/04 17:04
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
冷たい空気に包まれた埼玉スタジアムに、日本代表の歓喜が弾けた。2月1日に行なわれたカタールW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦で、日本は2対0の勝利をつかんだのだ。首位のサウジにリベンジを果たし、勝ち点差を「1」に詰めた。一方、3位のオーストラリアがオマーンと引き分けたことで、こちらは勝ち点差が「3」に拡がっている。
サウジに最終予選初黒星をつけた一戦を、元日本代表MF中村憲剛氏に振り返ってもらう。中国戦に続いて現地で観戦した彼は、「様々な意味で大きな勝利でした」と評価する(全2回の1回目/後編へ)。
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サウジアラビア戦は、「ここでやらなかったらいつやるんだ」という文字どおりの「決戦」でした。ただ、「ここは絶対に落としちゃいけない」という試合を、そのとおりに勝ち切るのは決して簡単ではありません。選手たちはかなりのプレッシャーを感じていたはずですが、90分のなかで流れを渡した時間帯はあったものの、サウジにほとんど付け入るスキを与えませんでした。
試合直後の感想は「森保一監督のチームらしい戦いぶりだな」というものでした。11人全員の守備意識が高く、ハードワークを怠らない。声を掛け合い、スキを見せず、水を漏らさない。
中国戦、サウジ戦と複数得点を記録し、2試合連続無失点です。キャプテンの吉田麻也と冨安健洋を欠いたなかで、連勝を「5」に伸ばしたのはこれ以上ない結果です。それぞれの自信につながるでしょう。
「地の利」を見事に活かした日本代表
競争が促されるセクションが増え、先発している選手の存在がより盤石になったセクションもありました。中国戦同様に攻撃の仕上げやフィニッシュの精度は問いたいところもありますが、そこへ至るまでの過程は確実に良くなってきています。一体感のある守備も含め、様々な意味で大きな勝利だと言えます。
サウジ戦の選手たちの動きの良さを見ると、改めてホームの連戦は大きかったなと感じます。初戦後の長距離フライトによる疲労や時差ぼけもなく、移動がないぶん練習のコマ数をより多く確保できました。それに伴ってコミュニケーションも増え、相互理解は深まったと思います。
ここまで日本代表は、連戦の2試合目はすべて勝ってきました。トレーニングを積み上げればコンディション、戦い方の統一を含めてチームとして機能することは、結果を見れば明らかだったのですが、サウジ戦は結果も内容も評価できるものでした。
ホームゲームということで言えば、スタジアムの雰囲気が中国戦とは少し違ったように感じました。決戦に臨む凛とした空気が、流れていたように思います。サポーターのみなさんがこの試合の重要性を理解して、現状でできる範囲の応援でチームを後押ししてくれていました。これまでの最終予選に比べて人数は制限されていたものの、ホームスタジアムとしての後押しと熱量のある雰囲気がそこにはあり、そのなかで躍動する選手たちを観て、改めてサポーターのみなさんの存在は偉大だと感じました。