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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
W杯出場に王手も中村憲剛は「まだ何も決まっていません」…“オーストラリアに引き分けOK”の空気に「待った」をかけるワケ
posted2022/02/04 17:05
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
埼玉スタジアムに歓喜が弾けた。2月1日に行なわれたカタールW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦で、日本は2対0の快勝。前編に引き続き、W杯出場に大きく前進した一戦を、元日本代表MF中村憲剛氏に振り返ってもらう(全2回の2回目/前編へ)。
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後半開始早々から、日本の答えを見せてもらえました。ハーフタイムを挟んで、守備は整理されていました。
伊東純也と南野拓実は相手のSBが高い位置をとってきても下がりすぎずに、相手のビルドアップを牽制するという前半の良い時間帯の立ち位置をとっていました。
しかもただ立つのではなく、グラウンダーのボールを通させない、通されるとしたら高さが出て、到達までに時間のかかるロングボールを蹴らせていました。その代わりに「あえて捨てた」相手SBは、インサイドハーフのポジションから守田英正と田中碧、SBのポジションから酒井宏樹と長友佑都の誰かが、ロングボールが上がっている間に距離を詰めに行く形に変わりました。
また、SBが距離を詰めた場合には4バックの残りの3人がしっかりと穴を作らないようにスライドすることも、併せて統一されていたように見えました。相手のサイドチェンジをウイングに担当させるのではなく、インサイドハーフかSBが出るとはっきり決めたことで、サウジに際どいシーンを作られることはほぼなくなりました。
SBがスライドするとCBもスライドするので、リスクはあります。ただ、前線の3枚で相手最終ラインのボールホルダーにしっかり規制をかけることで、日本の陣地に入られなくなりました。何より、遠藤航、守田、田中は守備範囲が広いので、少しずれてもカバーできます。大きな穴はほとんど空きませんでした。
前半の流れがいいときはその守備ができていたので、改めて統一したのだと思います。そのぶん、運動量と質と量の伴った声かけが必要になりますが、選手たちの声は放送席まで良く聞こえてきました。素晴らしい集中力だったと思います。
最高の時間帯に生まれたスーパーゴール
守備を整理、統一したことで、再び流れをつかみ出した後半開始5分で、2点目を取ることができました。時間帯は最高でした。
サウジは0対1になってからギアを上げ、ビルドアップの形を変えて侵入できるようになり、イケるじゃないかという空気感で後半に入ってきたはずです。そこで伊東のスーパーミドル! 完全に相手の出鼻を挫きました。色々な意味で大きなゴールでしたね。
2対0にしてからの試合運びについて、フラッシュインタビューで遠藤に聞きました。彼は「しっかりと守備ブロックを作りました」と話していました。ここからは意図的に4-5-1の形を作って、相手を侵入させないことにしたのでしょう。もちろんサウジも力はありますから、ウイングを下げさせられることもありましたし、何回か侵入されましたが、決定機は与えていません。枠内シュートは1本に抑えました。僕自身は相手の時間が少し長過ぎるかな、という印象を抱いていたのですが、選手たちはそれも織り込み済みだったようです。