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18歳ネイマールの天才性とトラブルメーカーぶり 「PKキッカーを取り上げられて監督に罵声」事件とは〈30歳に〉
posted2022/02/05 06:00
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Getty Images
2009年3月、サンパウロ州選手権のオエスチ戦で、ネイマールは「サッカーの王様」ペレを生んだ名門サントスから17歳1カ月でデビューした。後半途中からピッチに入ると、右サイドでパスを受け、柔らかいドリブルでマーカーをかわして右足を一閃。これがファーサイドのゴールポストを直撃して、スタンドをどよめかせた。そして、次の試合で左からの低いクロスをダイビングヘッドで決めて初得点。この年、サンパウロ州選手権で13試合で3得点、ブラジル全国リーグでは33試合で10得点。ブラジル国内は「神童」の登場に沸いた。
翌'10年のサンパウロ州選手権は1月中旬に開幕し、期間中の2月5日、ネイマールは18歳の誕生日を迎えた。
この大会、ネイマールは準決勝の第2レグで2得点、決勝の第2レグでまたしても2点を挙げるなど、22試合で14得点の活躍でサントスを優勝に導き、大会ベストイレブンに選出された。18歳になったばかりの若者が、名門のタイトル獲得の立役者となったのだ。
貧しかった家庭の中で6歳時に見いだされた才能
ネイマールは、ブラジル南東部サントスの郊外で育った。父親は国内の中小クラブを渡り歩いたプロ選手だったが、ほとんど無名で、家庭は貧しかった。
6歳のとき、はじめて彼の才能を見出したのは、地元のフットサル指導者ベッチーニョだった。
「たまたま彼が走っている姿を見たが、体のバランスが素晴らしかった。ボールを持たせたら、恐ろしく上手い。数万人に一人の才能、ダイヤモンドの原石だと確信した」
彼のチームに入団したのち、11歳のときにはサントスのフットサルチームに招かれることになる。当時、彼を指導したアレッシャンドレ・バラータもベッチーニョ同様、強烈な印象が脳裏に焼き付いている。
「スピード、テクニック、判断力のすべてが飛び抜けていた。かつて自分が指導したロビーニョよりも上。ロナウジーニョに匹敵する逸材だと思った」