海外サッカーPRESSBACK NUMBER
クラブW杯南米代表を巡るゴタゴタ。
アルゼンチンサッカーの闇が深すぎる。
posted2018/12/18 07:00
text by
藤坂ガルシア千鶴Chizuru de Garcia
photograph by
UNIPHOTO PRESS
今年の南米クラブ王者決定戦、コパ・リベルタドーレスの決勝では、アルゼンチンを代表する2大クラブ、ボカ・ジュニオルスとリーベル・プレートによる史上初の「スーペルクラシコ」が実現し、国内のみならず世界中のサッカー愛好家から注目を浴びた。
ボカのホームで行われた第1レグは大接戦の末2-2のドローで終わり、第2レグではリーベルが延長後半に見事な逆転劇を演じて優勝。ピッチ内での出来事のみに着目した場合、今回のファイナルは「南米王者決定戦に相応しい内容だった」と自信を持って言える。
だが実際は、アルゼンチン人として、そして南米人としても恥ずべき「汚点」となる決勝戦でしかなかった。
第2レグ開始前、リーベルのサポーターがボカのチームバスを襲撃したため選手たちの何人かが怪我をして、3度に及ぶ延期を経て「安全が保証されていない」という理由から南米サッカー連盟がアルゼンチン国内での試合開催を断念。そして、会場をマドリードのサンティアゴ・ベルナベウに移すという信じ難い展開になったからだ。
リベルタドーレス、の意味は……。
南米王者を決める歴史ある大会の決勝が、なぜスペインで行われることになったのか。誰もが首を傾げるこの予想外の判断が下された理由は、延期からの会場変更に伴う巨額の経費をすべて負担すると申し出たスポンサー企業の魅力的オファーを前に、南米人としてのプライドを捨てたサッカー連盟幹部の愚かさがあったからに他ならない。
大会名の“リベルタドーレス(解放者たち)”は、かつてスペインの植民地だった南米諸国を解放するために命がけで戦った英雄たちを称える呼称だ。
その大会の決勝戦を、よりによってスペインで開催するという屈辱的とも言える決断については、南米出身の著名な指導者や元選手たちが一斉に遺憾の意を表している。