「毎回打ちのめされています。こういう風に撮影すればよかった、こんなテロップがよかった、ナレーションはこうした方がよかった……反省は無限に出てきますね（苦笑）」

　先輩からは編集の手法や技術だけではなく、取材者としての心得も学んでいる。

「例えば、サッカーの試合がオウンゴールで勝敗が決まってしまった場合、失点にかかわった選手を映像で映したくなるし、実際にそういう構成にすることは少なくありません。でも、先輩が『責任をその選手だけに負わせるような見せ方は、選手に対するリスペクトが足りないよね』というアドバイスをくれて、私の経験からもそれはすごく共感できるなって思いました」

編集作業をする竹石さん（静岡朝日テレビ提供）

週末の試合や練習にはディレクターとしてロケに行き、自ら撮影、ナレーションなどの原稿も考え、VTR編集までを行うという（静岡朝日テレビ提供）

箱根駅伝優勝と重なって見えた“ジュビロ優勝の瞬間”

　仕事は大変だが、箱根駅伝のようになかなか経験できないことも1年目で味わえた。昨年8月にサッカークラブのジュビロ磐田担当になった竹石さんは、J2でJ1昇格を狙うチームを取材する機会に恵まれたのだ。磐田がJ1に昇格し、J2優勝を果たした時には、青学時代の箱根駅伝優勝の瞬間を思い出した。

「優勝した瞬間って、いい意味で、その喜び以外のことは考えられない幸せな気持ちになるんですが、ジュビロの選手のみなさんも同じようにすごく喜んでいました。優勝した後の選手のインタビューではいつもと違ってちょっと素が見えたりして、それはこの仕事をしていないと経験できないことですよね。1年目からJ2優勝という貴重な場に立ち会えたことは、すごくいい経験になりました」

青学大の先輩・神野から「俺、竹石の気持ちわかるよ」

　VTR作りでは、なかなか先輩を越えることはできないが、インタビュアーとしては先輩から「いい言葉を引き出せたね」と褒められたこともあった。東京五輪で男子200m日本代表になった飯塚翔太のインタビューを任された時だ。

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