「静岡県出身の飯塚さんと東京五輪に出る前に、対談形式でインタビューをさせていただきました。陸上だからというのもあったと思うんですけど、すごく自然に会話ができて、先輩から好評だった時はすごく嬉しかったですね」

　もう一人、青学大の先輩であり「3代目・山の神」の神野大地にも自ら取材する機会があった。併走でダウンジョグをしている途中に掛けられた言葉に驚かされた。

「走っていたら神野さんが『俺、竹石の気持ちわかるよ』っておっしゃったんです。『何がですか？』と聞いたら、神野さんも充実した練習はできていてもいざレースになると思うような走りができないことがあると。『きっと箱根駅伝の時の竹石も、良い練習が出来ていたけど、レースになって体が動かない。そんな感じだったでしょ？』って」

　プロランナーの神野が自分の気持ちを理解してくれたことが嬉しかったし、それ以上に同じような苦悩を抱えて、それでもプロとして走り続けている先輩の姿に強い意志と凄みを感じた。

　飯塚や神野のような陸上選手や陸上そのものを自社のスポーツ報道で扱う時間は、サッカーに遠く及ばない。静岡から関東の大学に行って箱根駅伝を走る選手がクローズアップされる程度だ。

「今はまだ、自分が与えられた仕事をこなすだけで精一杯なので、正直、陸上まで届かないのが本音です。箱根駅伝は放送する局が違いますが、やっぱり気になります。4月からは箱根を含めて陸上でも何かしら企画を出したり、取材出来たらいいなと思っています」

「今置かれた立場で自分ができることを頑張りたい」

　引退したとはいえ、陸上への思いは冷めることはないようだ。ちなみに5年間、毎日、走ってきた竹石さんだが、今はほとんど走っていない。ジムに通って筋トレにハマって、細マッチョになりつつある。今後は、「市民ランナーとして走りたい」とのこと。

「いや、いきなりマラソンは……（苦笑）。今は、さすがに陸上に復帰したいとは思わないですけど、ずっと陸上には関わりたいと思っています。実業団にいって結果を出している同期を見て情けなくなることもあるけど、今置かれた立場で自分ができることを頑張りたい。ほんとこれからです！」

#3に続く

「なぜ青学大はそんなに強いんですか？」箱根5区を走ったOB竹石尚人24歳に聞く“青学大は誰もラクをしない”

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