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バスケットボールPRESSBACK NUMBER
NBAデビューから17年…レジェンド田臥勇太が語る“日本と世界の差”「(渡邊)雄太と(八村)塁はきっと『当然だ』くらいの…」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byB.LEAGUE
posted2022/02/01 11:05
宇都宮ブレックスで在籍14季目を迎えた田臥勇太41歳。レジェンドが語る、八村塁(ウィザーズ)や渡邊雄太(ラプターズ)の活躍、そして日本と世界の差とは
日本人の美徳とされる協調性は大事だ。
ただ、日の丸が競技における精神である以上、その血を体内に流し、コートでたぎらせなければならない。圧倒的な「個」。それを誇示した上で、プレーで他の選手との親和性を高めていかなければ、強者たちの尻尾はいつまでたっても捕まえられない。
「『もっとやれる』っていうものを進化させていってもらいたい」
世界へ近づく第一歩は、エゴイズム。
「そういうところに繋がってくる部分は、あると思います」
日本のバスケットボール界で、初めて「無理」と決別した男が穏やかな表情を浮かべた。
2000年代初頭まで「日本人には絶対に無理」と言われながら、その常識を覆したのはビッグマンではなく、小兵選手だった。
鮮烈なデビューから約17年。「日本人初のNBAプレーヤー」と呼ばれることに違和感があった田臥がその栄誉を受け入れられるようになったのは、ここ数年なのだという。
出だしのトーンは低かったが、徐々に田臥の言葉に熱が帯びてくる。
「う~ん……僕がいた頃は、まだ『NBAに行けるか、行けないか?』ってレベルで。今はもうね、雄太と塁が『日本人でもやれる』ってところを見せてくれていますしね。これからは歴史っていうか、他の選手も『もっとやれる』っていうものを進化させていってもらいたいなって想いのほうが強いですね。でも、そういうところで少しでも『NBAを目指したい』ってきっかけだったり、バスケットを好きになってくれたら非常に嬉しいし、僕も『プレーヤーとしてまだまだ続けたい』ってモチベーションにもなりますよね」
宇都宮のブレックスアリーナに行けば田臥がいる。
どれだけ歳月が過ぎようと、リアルタイムであの衝撃を目の当たりにしていなくても、コートにいる彼を見れば心が躍る。
「あっ、田臥だ!」
誰もがそこで、世界に触れる。(前編からつづく)
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