- #1
- #2
バスケットボールPRESSBACK NUMBER
NBAデビューから17年…レジェンド田臥勇太が語る“日本と世界の差”「(渡邊)雄太と(八村)塁はきっと『当然だ』くらいの…」
posted2022/02/01 11:05
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
B.LEAGUE
横浜アリーナに紙吹雪が煌めく。
赤い王者が歓喜の雄叫びを上げる様を、田臥勇太は目に焼き付けていた。
あと1勝だった。
Bリーグ初代王座に就いた2016-17シーズン以来のチャンピオンシップ制覇は叶わなかった。しかし、宇都宮ブレックスの主将は悔しさより、バスケットボールの醍醐味を再認識するように敗北の瞬間を回想する。
「毎年、そこを目指して戦っていてもたどり着くのは大変で。『あとひとつ』ってところになると、よりワンプレー、ワンプレーの重みだったり、質っていうものが最終的に勝敗に結びつくことを感じました。悔しかったですけど、僕にとっても他の選手、チーム全体にとっても財産となった経験ですし、それをひっくるめて『バスケット、面白いな』って思わせてもらいましたね」
田臥が担う「PG」、役割はどう変わったのか
バスケットの面白さ。それをひとくくりに表現などできないが、大きなところを挙げるとすれば多様性。ポジションがそのひとつだ。
20年ほど前までは、ポイントガード(PG)、シューティングガード(SG)、スモールフォワード(SF)、パワーフォワード(PF)、センター(C)の役割が明確だったが、今ではその概念が変わりつつある。
田臥が担うPGはゲームをコントロールする司令塔で、シュートよりパスの供給を求められることのほうが多い。それが現代では、積極的に得点に加わる選手が増えた。
昨シーズンのファイナルでチームを導き、宇都宮撃破の原動力となった千葉ジェッツの富樫勇樹がそうだ。
167センチと田臥よりも身長が低い。その分、3ポイントという、とっておきの飛び道具を有し、ゲームのバランサーでありながら要所でSGさながらの得点源となった。ファイナル3試合での3ポイント成功率は15本中5本で33.3%。40%が高評価のラインとされているから十分に及第点と言えるだろう。
田臥が見た富樫勇樹(千葉ジェッツ)の“怖さ”
同じPGの見地からも、田臥は富樫を「脅威」だとはっきりと言った。