甲子園の風BACK NUMBER
《センバツ決定》注目選手&優勝候補は? 花巻東・佐々木麟太郎に「ずば抜けた総合力」の大阪桐蔭左腕…逸材ズラリの“05年世代”が甲子園に集結
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byYuki Suenaga
posted2022/01/28 17:02
花巻東・佐々木麟太郎(左)や大阪桐蔭・前田悠伍(右)など、センバツ注目選手を一挙紹介
広陵の“ボンズ”、九国大付の大型スラッガーも…
広陵には189センチ、89キロの真鍋慧、九州国際大付には182センチ、104キロの佐倉侠史朗という大型スラッガーがいる。佐々木を含め3人とも右投げ左打ちの一塁手。真鍋は高校通算10号、佐倉は高校通算8号を昨秋に神宮球場に放り込んでいる。
本塁打数と知名度は佐々木に大きく水を開けられてはいるが、将来性はともに高い。真鍋は中井哲之監督から「ボンズ」の愛称で呼ばれ、広範囲に飛距離を伸ばせる打撃を高く評価されている。柔らかいミットさばきや身のこなしを見る限り、一塁以外のポジションもこなせる素養は十分あるだろう。
佐倉は個性的な打撃フォームで甲子園を沸かせるはずだ。打席内で右足を大きく前に踏み出し、スクワットでもするかのように重心を落としてから構えに入る。やや動きに重さはあり、自分の間合いでボールを呼び込めない際にもろさも見られる。それでも、打席数を重ねる中で大化けする期待がふくらむ。
「ずば抜けた総合力」投手の目玉は大阪桐蔭の左腕
投手では、大阪桐蔭の前田悠伍が目玉になる。平成以降8回の甲子園優勝を飾っている名門には、全国から選りすぐりの精鋭が集まってくる。今年も新3年生に川原嗣貴、別所孝亮、川井泰志と他校ならエースになれる投手がひしめく。そんななか、昨秋に1年生ながら実質的なエースとして快投を見せたのが前田だった。
身長179センチ、体重75キロと細身で、ストレートは常時140キロ前後で爆発的な数字を残すわけではない。だが、強烈なスピンのかかった球質のいいストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップなど精度の高い変化球、さらにピンチでも相手を見下ろして投げられるマウンド度胸と「勝てる投手」に必要な要素をすべて兼ね備えている。
近年の大阪桐蔭の投手は最上級生になるにつれスケールダウンしてしまうケースも見られたが、前田の場合は1年時点でずば抜けた総合力がある。その特長をそのままに、うまく肉付けしてスケールアップできれば、今後2年間の高校野球界は前田に牛耳られても不思議ではない。