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自慢の育成が今一つだった西武とホークス、新庄日本ハムは「解体モード」だが意外と…《成績で見る勝因敗因/パBクラス》 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/12/30 11:07

自慢の育成が今一つだった西武とホークス、新庄日本ハムは「解体モード」だが意外と…《成績で見る勝因敗因/パBクラス》<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

西武・山川穂高、日本ハム新庄新監督、ソフトバンク千賀滉大。選手、監督という立場の違いはあれど2022年各球団のキーパーソンなのは間違いない

 この状況は、2008年のホークスを思い出す。

 10年連続でAクラス入りし、盤石の安定感だったホークスがこの年、最下位に転落したのだ。王貞治監督は退任し、秋山幸二監督となった。大戦力であっても、ベテランと若手のスイッチに失敗したり、チームがマンネリ状態になればエアポケットに入ったように――下位に低迷することはあるのだ。

リーグトップクラスの打線と投手陣がかみ合わず

 しかし今季のソフトバンクはチーム打率2位、防御率1位とポテンシャルは依然高かった。投打の歯車がかみ合わなかったのが大きかった。

 具体的には、デスパイネ、グラシアル、モイネロというキューバ勢がコロナ禍と東京五輪予選の関係で出場機会が大きく減った。バレンティンも不振で、打線では相手投手のマークは柳田悠岐1人に集中した。松田宣浩にとって代わる選手は登場せず、自慢の分厚いファームシステムが十分に機能しなかった。

 また投手陣は、大エースの千賀滉大が出遅れて、ローテが十分に回らず。日本ハムから来たマルティネスが穴を埋めたが、後半に千賀が復帰するまで柱がない状態だった。救援陣も森唯斗が離脱し、クローザーが固定できず。セットアッパーも層が薄くなっていた。

 しかしながらソフトバンクの分厚い選手層はまだ健在だ。シーズン後半には育成上がりのリチャードが大物打ちの片鱗を見せ、三森大貴も二塁に定着。さらにけがで戦線離脱したものの圧倒的なスピード感がある周東佑京も巻き返しそうだ。

 投手陣ではマルティネスはMLBに移籍したものの、今年前半好投を見せたレイがチーム復帰。さらにはMLBのドラフト1位を蹴って入団したスチュワートも一軍で投げ始めている。

 この層の厚さを勘案すれば、来季、藤本博史新監督がよほど下手を打たない限り、ポストシーズン行きは間違いないのではないか。<パリーグAクラス編に続く>

#2に続く
勝ち運に見放された田中将大、覚醒間近の佐々木朗希、完璧だった山本由伸の来季はどうなるか《成績で見る勝因敗因/パAクラス》

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