酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
自慢の育成が今一つだった西武とホークス、新庄日本ハムは「解体モード」だが意外と…《成績で見る勝因敗因/パBクラス》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySports Graphic Number
posted2021/12/30 11:07
西武・山川穂高、日本ハム新庄新監督、ソフトバンク千賀滉大。選手、監督という立場の違いはあれど2022年各球団のキーパーソンなのは間違いない
エース格が不在の中、気を吐いた救援の平良
一方、投手陣は打線の援護があるうちは多和田真三郎が最多勝を取るなど、体裁を保っていた。ただその中で芯となる先発は育っていなかった。今季は高橋光、今井、松本、平井などローテを担う投手はいたが、まだエース格はいないのが現状だ。
そんな中で2019年、2020年と平良海馬が抜群の働き。救援投手ながらPRはチーム1になっており、今季後半からは故障した増田達至に代わってクローザーに抜擢された。また今季は育成上がりの水上由伸がセットアッパーとして活躍した。ただし平良はここ2年で116試合に登板。22歳と若いものの、登板過多が気になるところだ。
留任が決まった辻発彦監督は、足と長打が売り物の岸、強打の愛斗、中軸に育つ可能性があるブランドンなど若手を抜擢しているが、彼らの中からリーグを代表する打者が育つにはまだ時間がかかりそうだ。山川穂高が復活すれば多少は浮上するだろうが、来季もかなり苦しい様相だ。
日本ハム:「解体モード」だが、明るい兆しも
<5位 北海道日本ハムファイターズ>
55勝68敗20分 勝率.447 首位と14.0差
チーム打率.231(6位)チーム防御率3.32(3位)
・打線
1(中)淺間大基 103安5本31点8盗 率.251 RC44.01
2(左)西川遥輝 104安3本35点24盗 率.233 RC61.68
3(三)野村佑希 99安7本37点0盗 率.267 RC38.75
4(右)近藤健介 133安11本69点4盗 率.298 RC90.35
5(DH)王柏融 61安9本48点1盗 率.242 RC35.36
6(二)渡邉諒 68安3本29点5盗 率.242 RC29.28
7(一)高濱祐仁 96安8本43点2盗 率.262 RC42.27
8(遊)石井一成 64安4本19点8盗 率.225 RC26.92
9(捕)清水優心 44安4本18点0盗 率.206 RC19.62
・先発投手
加藤貴之 25試6勝7敗150回 率3.42 PR7.5
上沢直之 24試12勝6敗160.1回 率2.81 PR11.94
伊藤大海 23試10勝9敗146回 率2.90 PR9.41
バーヘイゲン 20試5勝8敗96回 率3.84 PR-3.84
池田隆英 18試3勝10敗82.1回 率3.94 PR-4.21
・救援投手
堀瑞輝 60試3勝2敗0S39H53.1回 率2.36 PR6.64
杉浦稔大 56試3勝3敗28S1H54.2回 率2.96 PR3.16
玉井大翔 50試0勝0敗0S8H42.2回 率3.16 PR1.52
宮西尚生 50試1勝2敗0S15H44.1回 率3.65 PR-0.84
河野竜生 40試3勝6敗0S9H90.1回 率2.99 PR4.92
B.ロドリゲス 47試0勝2敗3S24H46回 率2.74 PR3.78
日本ハムは大谷翔平がMLBに移籍した2018年に3位に入ったのを最後に、3年連続5位と低迷が続いている。
ドラフトの目玉として獲得した清宮幸太郎、吉田輝星などが伸び悩み、新戦力が出てきていなかった。しかも今季は前年の打点王、中田翔が不祥事を起こした挙句に移籍。西川遥輝など他の打者も軒並み不振で、打線は近藤健介が一人奮闘している印象だった。端的に言えば10年続いた栗山英樹監督時代の「政権末期」を感じさせた。