海外サッカーPRESSBACK NUMBER
元川崎FW安柄俊(31)が味わった理不尽な“Kリーグ1部移籍破談”…苦しみを救った北嶋秀朗と中村憲剛の言葉とは?《2部で2年連続MVP》
posted2021/12/04 17:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Busan IPark
溢れ出す涙を抑えることはできなかった。
「幸せな気持ちでサッカーをさせてくれた釜山アイパークに感謝したい。昨年の冬に精神的に辛い状況にあるとき、手を差し伸べてくれたチームが本当にありがたかったです。だからこそ今年もこれだけ頑張ることができました」
元Jリーガーで、現在Kリーグ2(2部)釜山アイパークに所属するFW安柄俊(アン・ビョンジュン/31歳)は「Kリーグ2アウォーズ2021」表彰式で大粒の涙を流し、チームへ感謝の気持ちを伝えていた。
安は今季、Kリーグ2部で得点王、ベスト11、そしてMVP(最優秀選手)の3冠を獲得。しかも、昨シーズン所属していた水原FCでも同様のタイトルで3冠を達成しており、1部昇格の原動力となった。2部リーグにおいて2年連続3冠は史上初の快挙。「韓国サッカー界の歴史にその名を刻んだ」と多くのメディアが偉業を称えている。
ちなみにKリーグの“MVP”は得票で決まる。今年はKリーグ2の監督10人中4人、チームキャプテン10人中4人、メディア98人中68人が安に票を入れた。かつてサガン鳥栖と鹿島アントラーズでプレーした2位の韓国代表DFチョン・スンヒョン(金泉尚武)を抑え、2年連続でのMVP受賞だった。
韓国2部で23ゴール、得点ランキングも独走
安の今季のプレーにはインパクトがあった。
今季はリーグ34試合に出場して23ゴール。釜山の今季総得点数が「46」なので、1人で半分の得点をたたき出している。得点ランキング2位のFWジョナタン・モヤ(FC安養)が14ゴールなので、その差を考えると圧倒的な得点力だ。
それにしても、Jリーグを経て2019年に韓国に舞台を移してからの成長ぶりには目を見張るものがある。水原FCでの1年目は8ゴール、2年目は21ゴールで初の得点王となり、3年目の今年は前述の通り釜山に移籍してから23ゴールと年を重ねるごとに得点感覚は研ぎ澄まされている。
なぜこれほどまで結果を残せるようになったのか、そして冒頭で話していた“精神的な辛い状況”とはなんなのか――。リーグを終えて日本に戻っている安に話を聞くことができた。